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阪急本店も売上高「過去最高」 今期は2800億円超を計画

エイチ・ツー・オー リテイリングの2023年3月期連結業績は、小売業の売上高に相当する総額売上高が前期比24.3%増の9797億円、営業利益が113億円(前期は7億4000万円)、純利益が163億円(同98億円)だった。

百貨店事業を運営する阪急阪神百貨店の総額売上高は前期比27.9%増の4894億円、営業利益は103億円。都心店の売上高が同34%増と伸長率が大きい。阪急本店の売上高は同30%増、2611億円に達し過去最高となった。

同店の売り上げをけん引するのは、ラグジュアリーブランドや時計・宝飾品などを求める上顧客だ。当期の売上高のうち、64%を占めるのは識別顧客(カード会員やデジタル会員)による購買。識別顧客のうち、年間100万円以上購入した客は40%で、コロナ前の19年3月期から10ポイント伸びた。阪急阪神百貨店の山口俊比古社長は、「(富裕層は)ラグジュアリーブランドなどの高価な商品だけでなく、化粧品、リビング、衣料品など幅広く商品をお買い求めになる。百貨店の品ぞろえを生かしたライフバリューを高める提案が、(客一人当たりの)購買単価を底上げしている」と説明する。

中国客の売上高はコロナ前の5割
VIPの囲い込みがカギ

エイチ・ツー・オー リテイリングは今期(24年3月期)、総額売上高が前期比6.2%増の1兆400億円、営業利益が同49.3%増の170億円、純利益が同51.2%減の80億円を予想する。前期は、特別利益として固定資産売却益、高島屋の投資有価証券売却益計173億円を計上したため、その反動での最終減益を見込む。百貨店事業の売上高は同10.8%の伸長を計画する。国内消費の回復継続に加え、インバウンドによる押し上げ効果への期待値が大きい。

前期の百貨店事業における免税売上高は、19年3月期(約400億円)と比較して15%減にとどまったが、今期はこれを上回る水準を計画する。19年3月期の5割程度の水準だった中国人売り上げは今期、7割程度まで回復を見込む。阪急本店では、中国の富裕層向けのサービスを拡充、寧波阪急のVIP顧客の送客を進める。山口社長は「店舗組織に横串を通し、ワンチームでお客さまの要望に応えるロイヤルカスタマーグループを作る」と意気込む。

阪急本店の売上高計画は前期比9.1%増の2847億円。カギになるのは免税売上高の底上げに加えて「リアル体験の充実」(山口社長)だとする。「昨年秋以降、体験型コンテンツを徐々に復活させてきたが、お客さまの反応は非常にいい」。特に9階の祝祭広場・催場での仕掛けは、これまで接点のなかった客を取り込んでいる。今年2月の「バレンタインチョコレート博覧会」は過去最高の集客を記録した。「顧客に向けた手厚いサービスだけでなく、新しい仕掛けで、新しいお客さまの獲得にチャレンジする」。

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