「カルティエ(CARTIER)」が主催する「2023年度カルティエ ウーマンズ イニシアチブ(Cartier Women Initiasive 2023以下、CWI)」の授賞式が、フランス・パリで5月10日(現地時間)に開催された。CWIは、女性起業家のエンパワーメントを通じた変革の推進を目的に、2006年の創設以来、63カ国297人の女性チェンジメーカーを支援。本年度はテーマを「世界をよくする力」と掲げ、全世界の9つの地域別と、「サイエンス & テクノロジー パイオニア アワード」や「ダイバーシティ エクイティ & インクルージョン アワード」などからなる11のアワードの受賞者を発表した。1位の受賞者には助成金10万ドル(約1340万円)が、2位と3位の受賞者にはそれぞれ6万ドル(約810万円)と3万ドル(約405万円)が授与されるほか、リーダーシップスキルをさらに伸ばすための経済的、社会的、人的支援を受ける機会が与えられる。アワードの拡大に伴い、助成金の総額は史上最高の200万USドル(約2億6000万円)に達した。
授賞式の司会を務めたのは、キャスター兼作家で女性活動家のサンディ・トクスヴィグ(Sandi Toksvig)。授賞式は、国際弁護士のアマル・クルーニー(Amal Clooney)によるスピーチで開幕した。アマル・クルーニーは「私の弁護士としての哲学は、正義が遂行されること。正義は自然に起こるものではなく、必然的でもありません。私は忠誠を築き、戦略を立て、正義のために闘っています。今夜、この会場には、食糧安全保障や難民支援、女性と乳児の医療の改善、学生や指導者のための教育支援などを促進する、大陸や業界を超えて社会に影響を与える素晴らしい女性起業家が集結しています。それぞれのフィールドで闘う彼女らの活動とビジネスが、社会の構造をより良く変化させていくことでしょう。CWI授賞式で一堂が会したことで、世界的な連帯運動を拡大し、誰もが変革の担い手になれることを願っています」と話した。続いて、シリル・ヴィニュロン(Cyrille Vigneron)=カルティエインターナショナル最高経営責任者(CEO)が登壇した後、自国の伝統衣装に身を包んだ世界各国のファイナリストがスピーチを行ったほか、女優兼プロデューサーのヤラ・シャヒディ(Yara Shahidi)と女優兼映画監督で環境活動家でもあるメラニー・ロラン(Melanie Laurent)の対談や、ダンサー兼振付師のサデック・ワフ(Sadeck Waff)によるダンスパフォーマンスが披露された。
日本からはアーティスト兼僧侶の西村宏堂が参加した。登壇者の中で最も印象に残ったのは、ガンで夫を亡くした経験からガンから命を救うというビジョンを持って、世界初の統合型腫瘍学ヘルステック・プラットフォームを立ち上げたインド人のディンプル・パーマー(Dimple Parmar)だと話した。「日本は女性が主導となってビジネスを行うのが難しい時代にありましたが、CWIのフェローや世界の女性起業家の好例を見ることによって、背中を押されるのではないかと思います」と続けた。19年度にミレニアル世代のスキルをサポートする企業SHEの中山紗彩が初めて日本人としてファイナリストに名を連ねて以降、日本人は選出されていない。東アジア地域から本年度は、人工知能を用いてカスタマイズされたメンタルヘルスサポートを提供する企業40FYの代表で韓国人のウリィ・ムン(Woori Moon)が1位を授賞した。24年度のプログラムの募集はすでに開始しており、23年6月30日午後6時(中央ヨーロッパ夏時間)に締め切られる。