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ヤギは大幅増収増益、純利益は2.7倍の10億円に 「コロナ後」鮮明に 23年3月期

繊維商社ヤギの2023年3月期連結業績は、売上高が前期比11.5%増の864億円、営業利益が同72.6%増の19億円、経常利益が同43.9%増の19億円、純利益が約2.7倍の10億円と、大幅増収増益となった。グループ全体でコスト削減を強化したのに加え、経営体制の高度化や差別化商材の販売拡大を進めたことが好業績につながった。八木隆夫社長は「もう少し数字を出せればよかったが、コロナ禍中の投資を回収できず、不安要因を一掃したため、伸び悩んだ。今期からは通常の力を発揮してコロナ前の実力で戦っていく」と語った。

セグメント別には、売上全体の41.4%を占めるアパレル事業が同4.7%増の368億円。消費意欲が回復基調にあるなか、原材料費などのコスト高で苦戦したものの、ベターゾーンを中心に業界内で商品上代をあげる風潮が広がったことで利益も9割増えた。増益に大きく貢献したのが、約10年前に着手して着実に拡大してきたブランド・ライフスタイル事業。売上が前年より14.5%増え、185億円と増収、利益も5億5000万円増え、13億4000万円となった。なかでも主力ブランド「タトラス」のダウンジャケットがシーズン前から実需期にわたり好調に推移したことなどが増益要因となった。

マテリアル事業は、同19.8%増の329億5000万円だったが、利益は1億6000万円減の3億3000万円。合成繊維販売で原材料価格の高騰などによるコスト上昇分を価格に転嫁できず、苦戦したほか、天然繊維販売でも綿糸価格の相場が下落し、商況が鈍化した影響で減益となった。

同社は23年3月期まで3カ年の中期経営計画「MAKE A DREAM,1+∞」に取り組んできたが、新たに26年3月期を最終年度とする「Heritage to the future」を策定。持続的成長の基盤づくりに注力し、「事業」「グローバル」「グループ経営」「人材」「ESG」の5つを基本戦略として取り組んでいく。3年後の売上高は950億円、経常利益は32億円を計画。平均成長率3%、利益率3.3%を目標に掲げる。

目標達成のため、現行の事業セグメント体制を再定義し、23年4月から市場と顧客ニーズの変化に対応した4つのセグメント体制に移行した。「マテリアル事業」は成長率105%の売上高345億円、タオルなど生活資材を製造する「ライフスタイル事業」は同110%の110億円、「アパレル事業」は同109%の400億円、タトラスインターナショナルとアタッチメントを取り扱う「ブランド・リテール事業」は同112%の95億円を計画。この事業セグメントをサステナブル、デジタル、グローバルの視点で強化し、さらなる収益性の向上をめざす。重点事業は、差別化原料・テキスタイル事業、アパレルのライセンス事業、ブランド事業の3つ。マテリアル事業は強みのサステナブル系素材の開発と販売を強化し、ブランド事業ではブランディング強化と、EC活用によるグローバル化を図る。

こうした取り組みにより、24年3月期の通期業績は、売上高870億円、営業利益22億円、経常利益24億円、当期純利益は15億円を見込む。

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