「ナイキ(NIKE)」はニューヨークで行ったメディア向けのプレゼンテーションで、公平性と透明性の向上のため、ボット(bot)と呼ばれる自動購入ツールや転売行為の被害を減らすことが最優先事項の1つであると発表した。
同ブランドの公式アプリ「SNKRS」のルーシー・ラウス(Lucy Rouse)=バイス・プレジデント兼ゼネラル・マネージャーによれば、取り組みの一部として2022年10月に販売規約を見直し、「ナイキ」がオーダーをキャンセルする権利、購入者による返品手数料の負担、購入数量の制限を設け、転売目的と見られる購入者に対しては同社の製品へのアクセスを規制することを盛り込んだという。ほかにも、ボットでの購入と、判明した場合には「ナイキ」側でキャンセル処理ができるようになった。
ジョン・ドナホー(John Donahoe)=ナイキ社長兼最高経営責任者(CEO)は21年3月に限定品のスニーカーに関するアクセスの公平性に関して社内に通知しており、今回の取り組みが初めてではない。その際、ドナホーCEOは、「ボット対策テクノロジーには数年間を費やしているが、更なる努力が必要だ」とコメントしたという。
ラウス=バイス・プレジデント兼ゼネラル・マネージャーは「SNKRS」には毎月およそ128億件のボットによるアクセスがあり、特に人気のスニーカーのリリース時にはアクセス数の約50%がボットによるものだと説明。しかし、現在は約98%の成功率でボットを排除できていると語った。
同氏は、「『SNKRS』プラットフォームの裏側を探って新製品の発売日を知ろうとするようなユーザーもいるが、全く罪のない、ただスニーカーの発売を楽しみにしている顧客も大勢いる」とし、ここ1年でこうした技術面での問題は減ってきているとコメント。「情報をしっかりと提供すれば、消費者も安心して購入することができる。だが、情報量が多すぎるとボッター(Botter)と呼ばれるボットを使用する人たちの耳にも入ってしまうので、その二つの均衡を保つことが重要だ」。