ファッション

エストネーション大阪店は“ミュージアム”がコンセプト アート展示やイベントで情緒的価値を提供

サザビーリーグ エストネーションカンパニーは14日、エストネーション大阪店と神戸店を統合し、西の旗艦店として「エストネーション大阪店」をグランフロント大阪南館1階にオープンした。ルクアイーレの大阪店は今年3月、神戸BALにあった神戸店は同5月に閉店。新生・大阪店の売場面積は約990平方メートルで、ルクアイーレ店より2割ほど広く、1.5〜2倍の売り上げをめざす。

店内は、ウイメンズ、メンズ売り場のほか、ニコライバーグマンフラワーズ&デザイン、コスメ、メガネ、生活家電などのライフスタイル雑貨コーナーとインスタレーションスペースで構成。物販だけでなく、アート作品の展示や体験イベントなど情緒的価値やサービスも提供し、顧客が気軽に立ち寄れる空間となっている。加えてメンズのデザイナーズブランドとオーダースーツを中心としたドレスライン、ウイメンズのハイブランドなど、旧店舗では取り扱っていなかった商品が充実しているのも特徴だ。
 グランフロント大阪への移転については、「アートや知識、新しい販売方法の提案という施設コンセプトと、エストネーションがめざす方向性があっていた。世代を超えて買い物や体験を楽しめ、いつも新しい何かが感じられる空間にしていきたい」と、同社旗艦店推進の沓間由美子室長は話す。
 新店の内装は“ミュージアム”がコンセプト。ガラスとステンレスと石を使ったニュートラルで開放感がある空間に、鏡も多用して透明感を出した。エントランス近くのショーケースには、アート作品のようにドレスがディスプレイーされ、奥のスペースでは、カーテン地でアートを表現する「ファブリックスケープ」によるインスタレーションを展開。ギャラリースペースには、大阪の新世界や道頓堀などで撮影したイメージビジュアル写真を展示した。展示作品を紹介する白いプレートが随所に置かれているのも、美術館のようだ。「展示品は、2〜3カ月に1回のペースで入れ替える予定。ローカライズを重視し、大阪・天王寺にあるファブリックスケープのように、大阪でアート活動している方の作品をできるだけ紹介していきたい」(エストネーション広報PR課)。

サステナブル活動に気軽に参加を促す

同店では、サステナブル活動に気軽に楽しく参加できる仕組みづくりにも取り組んでいる。伊藤忠商事が行なう繊維製品回収サービス「ウエア・トゥ・ファッション(WEAR TO FASHION)」の回収ボックスを既存店では後付けで配置するが、同店ではフィッティングルームのスペースを活用し、店舗デザインに組み込んでインスタレーション化した。扉を開けて不用になった衣類をボックスに入れると、回収した衣類が溜まっていくのが外から見える仕掛けになっている。
 さらに、売り場の什器の約9割が、閉店した大阪店と神戸店で使用していたもの。古いソファーなどは化粧直しし、ストックルームのロッカーや棚もほぼ再利用している。「移転オープンするケースは少ないが、今までだったら廃棄して新しいものを作ってしまっていた。エストネーションでは初めての試みになる」(沓間室長)という。同店では今後、サステナブル関連イベントも企画していく予定だ。

大阪店に限らず全店で取り組んでいるのが、使えなくなった洋服のビニールカバーの再利用。回収業者に依頼し、ゴミ袋にリサイクルしたものを購入している。ハンガーもすべて回収し、再利用。「回収した衣類はリセールしたり、再生素材に変えたり。ビニールとハンガーと衣類の3つを回収・再生する取り組みをより進めている」(沓間室長)。

新たな接客販売のスタイルを導入

同店では、SNS時代に対応した新たな接客販売のスタイルを導入する。店内に約10カ所あるフィッティングルームのひとつをガラスで囲った空間にし、接客サービスのオープン化に取り組む。「接客を受けている場面を他人に見せたい」という顧客心理にアプローチする試みだ。従来のような完全クローズの空間ではなく、透明性のある空間で会話は一切聞こえないように配慮しながら、視覚化した接客サービスの体験を提供する。
 バニッシュスタンダードが展開する販売員向けDXアプリ「スタッフスタート」も7月から全店で導入し、販売員のオムニチャネル化に取り組む。すでに大阪店、神戸店の販売員のなかには、インスタグラムの店舗アカウントで人気を集めるスタッフもいて、リアルな関係性ができているという。スタッフスタートの導入により販売員のモチベーションアップや顧客エンゲージメントの向上につなげたい考えだ。

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