流通する大半の衣服を輸入に頼る日本のアパレル・小売企業にとって、貿易実務に長け、資金力があり、社内にデザイナーや生産管理のリソースを抱え、中国やASEAN、南アジアなどに生産・調達ネットワークを持つ繊維商社抜きにアパレルビジネスを行うことは難しい。主要な繊維商社は、世界的な課題となっているSDGsやDX(デジタルトランスフォーメーション)にもいち早く着手している。こうした面だけ見ると、繊維商社は、まさに日本のアパレル産業のアップデートを助けるヒーローのようにも見える。ただ、「そうした繊維商社こそが、産業全体の構造改革を遅らせる要因になった」と指摘する専門家もいる。繊維商社は日本のアパレルを救うヒーローなのか、それともフィクサーなのか?(この記事は「WWDJAPAN」2023年7月3日号からの抜粋です)
国内のアパレル輸入は30億枚超え、輸入浸透率は98.5%に
日本のアパレル輸入は2000年以降、コロナ禍の期間を含めて、ずっと30億枚を超え輸入浸透率は直近の2022年で98.5%に達している。煩雑な貿易実務や海外生産の手間を考えると、多くの部分の輸入に繊維商社が介在していると見られる。繊維商社はまさに衣料品供給の大動脈なのだ。
そうした中にあって、多くの繊維商社は、3DCGを軸としたデジタル生産システムの構築や、オーガニックコットンや最先端素材を駆使したサステナブル素材の開発、さらにはスタートアップへの出資やM&Aも行っている。
衣料の輸入量と輸入浸透率の推移
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