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“アパレル大量廃棄の救世主” 在庫買い取りのショーイチが衣料リサイクルに本気の理由

大阪を拠点に、余剰在庫の買い取り事業を手掛けるショーイチ(山本昌一社長)。テレビ東京の「ガイアの夜明け」などにも取り上げられ、アパレル大量廃棄の救世主としてコロナ禍前から業界内外で知られた存在だ。ただし、口さがない人は買い取った在庫を再販するショーイチの商売を、“バッタ屋”などと呼ぶこともある。そんな“バッタ屋”ショーイチが、今本気で取り組んでいるのがリサイクル事業だ。本業でも十分利益が出ているのに、困難も多いリサイクルに取り組むのはなぜか。山本社長に聞いた。

「リサイクルは
大きな売り上げにはならない」

ショーイチは2004年に法人の余剰在庫買い取りサービスを開始。現在、年間約3000社から4000万点を買い取っており、アパレルの余剰在庫買い取りとしては国内最大規模という。それ以外に飲食などの事業も手掛けており、山本社長はいかにも“大阪の商人(あきんど)”といった雰囲気の人物。「リサイクル事業を拡大しても、自社の売り上げ全体にとっては短期的には数%のプラスにしかない」とあけすけに語る。だが、社長自らが京都工芸繊維大学のリサイクル研究会に何度も足を運んだり、勉強のため産業廃棄物処理業者に頭を下げてアルバイトさせてもらったりと、自社のリサイクル事業をよりよい形に育てていくために努力を重ねている。

「捨てるのは
作り手に対して申し訳ない」

なぜリサイクルなのか。「在庫買い取りのビジネスを長年やってきて、海外でゴミの山なども見てきた。ゴミを減らさなければダメだと思うようになったが、それ以上に強く感じているのが、作り手に申し訳ないという気持ちだ。目の前で衣料品が焼却処分されるところも何度か見たが、非常にやるせなく悲しい」と山本社長は話す。在庫買い取りで訪問したバングラデシュの工場では、子どもが学校に行かず服を縫っている場面にも遭遇した。「国内の縫製工場も、コストを抑えつついいものを作るためにいかに努力しているかを知っている」と続ける。

「ブランド価値を
守るための焼却」に憤り

「ブランド価値を守りたいというブランド側の考えは分かる。しかし、いくら価値毀損の恐れがあるからといって、在庫を焼却するというのは人としてどうなのかと思ってしまう。ブランド側は売るときは生産工程を美談として語るのに、余ったら捨てたり焼いたりする。作った人を蔑ろにするようなそんなあり方はおかしい」と山本社長。そうモヤモヤと考えていた今から5年ほど前に、在庫を再び繊維にし、ブランケットやストールにするリサイクル手法があると聞いて「感動した」。そこからリサイクルの事業化を目指して模索し、積極的に動いてきた。気になる人にはまず会いに行って話を聞くのが山本社長のスタイルだ。現在リサイクル事業でタッグを組む反毛工場なども、そうやって開拓してきた。

外資ブランド含め取り組み先が拡大中

業界内でも徐々に、ショーイチは在庫を買い取るだけでなく、そのリサイクルも手掛けているという認知が広がりつつある。実際に、外資ブランドともリサイクル事業で取り組んでいる。国内ブランドに対して、いっそうの透明性や厳格さが求められるケースが多い外資ブランドにも選ばれていることは、ショーイチにとって自信となっている。「僕の中で一番大きいのは、作った人を蔑ろにしたくないというリスペクトの気持ち。それを共有できるブランドと一緒にリサイクル事業で取り組んでいきたい」と山本社長は話す。

問い合わせ先
ショーイチ
050-3151-5247