香料会社ジボダン(GIVAUDAN)はマスター・パフューマーであるオリヴィエ・ペシュー(Olivier Pesceux)が10日(現地時間)、パリで死去したと発表した。声明によると「長い闘病の末」、57歳で亡くなった。
ペシューは1966年、パリ生まれ。フランスの著名な調香高等教育機関イジプカ(ISIPCA)を卒業後、90年にグラースを拠点とする香料メーカー、パヤン・ベルトラン(PAYAN BERTRAND)に入社しキャリアをスタート。92年にパリに戻ると香水メゾンのアニック グタール(ANNICK GOUTAL)に入社し、翌年花王に移籍。98年にジボダンに入社した。
代表作は、昨年米「WWD」の特集「米業界人が選ぶ名香100選」にも選ばれた「パコ ラバンヌ(PACO RABANNE)」の“ワン ミリオン”や、「モンブラン(MONTBLANC)』の“エクスプローラー”など。特に「ディプティック(DIPTYQUE)」では“フレールドゥポー”“オー モエリ”オー デ サンス““オルフェオン”など多くの人気作を手掛けた。“サン・ジェルマン大通り34番地コレクション”は19年度の米フレグランス・ファンデーション・アワードで「ホームコレクション・オブ・ザ・イヤー」を受賞した。
そのほか、「ヴェルサーチェ(VERSACE)」や「コーチ(COACH)」「ディオール(DIOR)」「ランバン(LANVIN)」「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」「H&M」などのフレグランスも手掛けた。
ジボダンのジル・アンドリエ(Gilles Andrier)最高経営責任者(CEO)は声明で、「オリヴィエ・ペシューの死は私たちにとって大きな悲しみだ。彼は業界で最も美しく象徴的なフレグランスの数々を創り上げただけでなく、敬畏される人物であり、芸術に専念し、次世代の調香師の指導に尽力してきた」と述べた。
「ジボダンは彼の家族、親族、友人に深い哀悼の意を表するとともに、深い悲しみの中にある調香師たちを全面的にサポートする」と声明を結んでいる。