ロレアル(L'OREAL)のニコラ・イエロニムス(Nicolas Hieronimus)最高経営責任者(CEO)はこのほど、フレグランス財団(Fragrance Foundation)が主催する第50回「フレグランス・ファンデーション・アワード2023」で今年度のホール・オブ・フェイム(殿堂入り)賞を受賞した。2021年5月に現職に就いたイエロニムスCEOは、ロレアル リュクス事業本部プレジデント在任期間中に、「ランコム(LANCOME)」の“ラ ヴィ エベル”、「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」の“シィ”、「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT以下、YSL)」の“ブラック オピウム”“リブレ”など、現在も世界でベストセラーを誇る名香の開発指揮を執ってきた。成功の背景と今後の成長戦略を聞いた。(この記事は「WWDJAPAN」2023年7月17日号からの抜粋です)
ニコラ・イエロニムス/ロレアル最高経営責任者(CEO)
1985年に仏ESSEC経済商科大学院大学卒業。87年にプロダクト・マネージャーとしてロレアルに入社。93年に「ガルニエ」のマーケティングディレクター、98年に英国のガルニエ・メイベリン部門のゼネラル・マネージャー、2000年に仏「ロレアル パリ」のゼネラル・マネージャーを歴任後、「ロレアル パリ」のグローバル・ゼネラル・マネージャーに就任。05年、ロレアル メキシコのゼネラル・マネージャーに就任。08年、ジャン-ポール・アゴンに任命され、ロレアル プロフェッショナル プロダクツ事業本部のゼネラル・マネージャーに就任。11年1月にロレアル・リュクス事業本部のプレジデントに就任し、18年末まで同職に従事。13年にセレクティブ・ディビジョン(ロレアル リュクス事業本部、アクティブ コスメティックス事業部、プロフェッショナル プロダクツ事業本部)のプレジデントに就任。17年5月、全てのディビジョンを統括する副最高経営責任者に就任。21年5月から現職
WWD:フレグランス財団の殿堂入りは、どのような意味があるか。
ニコラ・イエロニムスCEO(以下、イエロニムスCEO):非常に光栄で、心から感謝している。特にわれわれのチームとロレアルの功績を評価いただいたことに最も意義がある。私の役割はオーケストラの指揮者のようにクリエイティブなチームを指揮することだ。ブランドのクリエイティブ担当者、嗅覚部門、フレグランスクリエイション部門、パッケージ部門といったチームとサプライヤーや外部のパートナーなど、全ての携わる人々によって成し遂げられたものだ。
WWD:ロレアル リュクス事業本部を率いていた時代から数多くのヒット商品を生み出してきた。長期的な成長を持続させるために必要なものは?
イエロニムスCEO:高い品質とユニークでクリエイティブな個性、さらには商業的な成功を収めるのに十分な魅力がうまく融合しているかどうかだ。全ての人を満足させる必要はないが、ブランドの個性とマッチする強い個性が必要だ。例えば「YSL」“ブラック オピウム”のビターなコーヒーフローラルの香りは、非常に挑戦的で革新的なものだった。私が最も恐れているのは、その香りが市場に何の影響ももたらさないことだ。“ブラック オピウム”のそれまでかいだことのない香りに出合った時とても気に入り、これこそが新たなターゲットを取り込む挑戦的で理想的な方程式であると感じた。「YSL」の“リブレ”や「プラダ(PRADA)」の“パラドックス”も同じだ。
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