フランスを代表する子ども服ブランド「プチバトー(PETIT BATEAU)」が創業130周年を迎えた。安全で着心地の良い、世界中で愛される製品は、創業当時から変わらずフランス・トロワの工場で紡がれている。創業者から継承する豊かな発想力と丁寧なモノ作り、地球環境のためのサステナブルな取り組みまで、歴史をひもときながら「プチバトー」の魅力に迫る。
紡績の街フランス・トロワで創業
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「プチバトー」の歴史は、テキスタイルデザイナーだった創業者ピエール・バルトンが1893年にフランスの紡績の街トロワに自社工場を構えたのが始まり。創業して間もなく、ウール素材が主流だった時代にコットン素材の白いTシャツを世に送り出し、海を渡って世界中のスタンダードとして大ヒットを飛ばした。さらに創業者の2代目は、自身の幼い息子を含む当時の子どもたちが着用していた、ウール製のロングパンツ型キュロットの着心地の悪さと動きにくさを改良するために試行錯誤。1918年に、脚の部分を大胆にカットした“プチ・キュロット”を発案すると、着心地の良さだけでなく洗濯も簡単になり、親からも歓迎される存在に。この天才的なひらめきが、現在一般的に使用されるショーツの原型といわれている。それから1世紀以上に渡ってカッティングや素材を工夫しながら、創業当時と変わらぬ外観を保つ工場で、「プチバトー」は世界中の子どもから大人まで幅広い世代に快適な製品を届け続けている。
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信頼と実績を築き長く愛される理由は、創業者から継承するモノ作りへのこだわりにある。製品の品質を左右するのが、製造工程のファーストステップである糸の検品。トルコ製の丈夫な長繊維で構成されたコットン糸を、19の検品を経て色や風合いの状態、異繊維の混入がないか確認し紡ぎ直す。それらを18ゲージの丸編み機でリブ編みのコットンニット生地へと形成。ここでは糸の品質を保つ環境を確保するため、湿度を一定に保つようその日の天候に応じて保湿機が作動する。子どもが寝返りを打ちやすいように伸縮性を重視したタイトな編み地や、ローゲージの風合いが柔らかな肌触りとデザイン性を高めるベストセラーのガーター編みなど、50の丸編み機に備わった円錐ボビンが異なる生地を紡ぎ出す。
徹底した環境管理のもと、生地は洗いをかけ染色工程へ。サステナブルな取り組みの一環として、2030年までに水の消費量を95%削減することを目標に掲げる「プチバトー」は、今年新しい染め機を導入した。かつては1枚のTシャツの製造に150リットルの水が使用されていたが、最新機器により55リットルへと削減され、さらに雨水と排水を回収・処理し、再利用することで地下水の取水量の減少へとつなげている。環境に優しいだけでなく、バイオテクノロジーを用いた洗いと染めの工程は、洗濯による縮み・色落ちの防止にも効果を発揮する。
機械によるプリントと裁断の工程を経て、縫製へと進む。50年代に誕生した、襟ぐりが大きく開き着脱しやすい“USスリーブ”や、80年代に発案した股下スナップボタンの付いたロンパースを筆頭に、ベビー肌着は複雑なパターン故に高い縫製技術を要する。“プチ・キュロット”は足ぐりを深くして機動性を高め、ロンパースは背中部分に切り込みを入れて着脱をより容易にするなど、赤ちゃんと親の両目線から常に改良が行われている。「プチバトー」の最初のヒット製品である白いTシャツも、オーガニックコットンへと切り替えられただけでなく、異なるフィット感の3パターンを展開するまでに進化。改良のたびに職人は技術を磨き、細部まで抜かりなく丁寧に縫製することで、安全で耐久性の高い製品を生み出している。一朝一夕には成し得ない卓越した技術こそ「プチバトー」の遺産。大胆な発想力とモノ作りのノウハウ、それらを具現化するクラフツマンシップが、着心地の良さを伴って着用者の身を包む。創業者が掲げた信念を受け継ぎながら、今日もトロワの工場は明りを消すことなく、次の130年を見据えて製品を編み出している。
CEOが語る「プチバトー」が目指す先
「プチバトー」は、「最も持続可能な方法で子どもたちに感動を与えられるブランド」を目指して進化を続けている。舵を取るギヨーム・ダルーゼ(Guillaume Darrousez)最高経営責任者は、次のように語る。
「『プチバトー』は、フランスの品質とモノ作りを象徴するブランドだ。世界中で働く2600人以上の従業員が、この伝統を脈々と受け継いできた。130周年の節目は、私たちが業界のパイオニアであり、アバンギャルドなブランドであること、そして未来にとって極めて重要な環境問題に取り組む姿勢をあらためて示す、またとない機会だ。今日、当社がマーケットシェアを拡大できているのは、ますます多くの人々がサステナブルで高品質な製品を求めているなかで私たちがブランドのDNAとしてノウハウを蓄積してきたからだろう。
当社の最大の強みはチームだ。献身的で革新的、創造的かつ楽観的なメンバーが、『プチバトー』の躍進を支えている。また、ビジネス面では、オムニチャネル戦略にも成功しており、2019年のEC比率は11%だったのに対し、22年には30%まで伸びた。特に日本ではEC比率は50%となっている。
日本は私たちにとって非常に重要なマーケットで、売上高は世界で2番目に大きい。加えて日本の文化は私たちにたくさんのインスピレーションを与えてくれる。このほど新たにスタートした化粧品ラインも日本に影響を受けたものの一つだ。アルコールフリーのベビーコロンに続き、今年は老若男女が使えるボディケア用品も発売予定で、日本でも年内の販売を目指している。これからも日本市場での成長を加速させたい。
目指すは、最も持続可能な方法で子どもたちに感動を与えられるブランドになることだ。そのために、ブランドの原点であるトロワの工場への投資を続けている。今後2年以内に、排熱を建物の暖房に再利用する仕組みや、工場の屋根から雨水を回収して再利用する仕組みを完成させる予定だ。
そして、子どもたちと自然をつなげることを使命に掲げている。21年からは子どもたちに水の大切さを伝えるため、『ウォーターファミリー』協会と提携して教育プログラムの提供を開始した。今年から従業員も参加できる制度を設け、年に2日間『ウォーターファミリー』の教育をサポートできる機会を提供している。持続可能性こそが私たちの戦略の根底だ。強みの楽観主義を貫き、コミットメントを続けたい」。
買い取り・回収サービス
「#プチバトン」が好評
2022年に始動した商品の買い取り・回収サービス「#プチバトン」が好評だ。着られなくなった対象商品を回収店舗に持ち込むと、 1ポイント1円として活用できる買取りポイントが付与される仕組み。回収店舗は吉祥寺店などのほか全国10店舗に拡大し、限定店舗で再販している。
PHOTO:YUSUKE KINAKA
プチバトー・カスタマーセンター
0120-190-770