ファーストリテイリングが国内で展開するウィメンズ・メンズの「プラステ(PLST)」で、構造改革を進めている。“きれいめ通勤服”で主に30代客をつかみ、「ユニクロ(UNIQLO)」「ジーユー(GU)」に続けと成長してきたが、コロナ禍以降赤字が続く。2020年8月末に102あった店舗は23年7月25日時点で81に減らし、8月末に向けさらに22店を閉める。新宿三丁目にあった路面店を、昨秋「ユニクロ」に業態転換したのが象徴的だ。一方で「ユニクロ」旗艦店内への出店を進めており、東京・銀座の「ユニクロ トウキョウ」と4月にオープンした福岡の「ユニクロ 天神」内に出店。それらの店舗では「販売好調」「業績は回復傾向」だと、7月13日の23年8月期第3四半期決算会見に登壇した岡﨑健ファーストリテイリング取締役グループ上席執行役員CFOは説明する。
「プラステ」が「ユニクロ トウキョウ」4階に出店したのは23年3月。そのタイミングに合わせて、ブランドロゴを「ユニクロ」「ジーユー」の四角いロゴも手掛ける佐藤可士和サムライ代表のデザインに変更した。「『ユニクロ』『ジーユー』と相並ぶことを意識したデザイン」(プレスリリースから)とし、これまで以上に“ユニクロファミリー”的な見え方を強めている。
ファーストリテイリングはこれまでも、不採算だった直営事業のランジェリー「プリンセス タム・タム(PRINCESSE TAM.TAM)」やカジュアル「コントワー・デ・コトニエ(COMPTOIR DES COTONNIERS)」の国内店舗を閉めて「ユニクロ」の一部店舗と公式ECでの販売に切り替え、卸販売していたデニムの「Jブランド(J BRAND)」も「ユニクロ」内で販売する形に切り替えてきた。効率アップを目指し、「ユニクロ」「ジーユー」店舗の併設化の流れも進んでいる。「プラステ」の今後の店舗政策については特に発表はないが、一部店舗は残しつつ、「ユニクロ」大型店内での展開を強化ということも進みそうだ。
コンセプト変更、「ユニクロ」と差別化
ブランド改革の中で、23年春夏はコンセプトも“きちんとしていたい時の「毎日服」”に変更した。それまで掲げていた“最上質な日常着”は“LifeWear”の「ユニクロ」との違いを見出しづらい部分もあった。もともと美脚パンツに定評のある「セオリー(THEORY)」運営会社から生まれたブランドとして、“スティックパンツ”(9990円)をアイコンに、蓄熱、自宅で洗濯可能といった機能素材を使った着回し服をそろえる。通勤だけでなく、子どもの“お受験”や七五三といったハレの場にも着用できるアイテムにも引き続き注力し、「ユニクロ」と差別化する。
今春は「ユニクロ トウキョウ」内への出店に合わせて、ファーストリテイリングが有明本部そばの東雲(しののめ)に持つ、“ホールガーメント”ニット専門の自社工場で生産したニットアイテムを、同店限定でテスト的に販売した。プルオーバー、フレアスカート(各1万5000円)が好評だったことから、23年秋冬に向けてドレス(1万3000円)などアイテムを拡大。大量生産に向けて海外協力工場での生産に切り替えて、「プラステ」全店で扱う。