シャープは、ヘアドライヤーをはじめとする美容領域を強化する。美容家電ブランド「ボーテアー(BEAUTE A)」を刷新し、同社を代表するプラズマクラスター技術を搭載した「プラズマクラスター ビューティ(PLASMACLUSTER BEAUTY)」として生まれ変わる。第1弾商品は乾燥性能が従来機比35%向上したドライヤー3機種(想定価格2万〜4万4000円)を8月24日に家電量販店やECサイトなどで販売する。今後はドライヤー以外の美容家電の展開も視野に入れ、23年度の出荷金額は前年比2倍、25年度は同3倍を目指す。
シャープは、2000年にプラズマクラスター技術を開発。美容領域では11年にドライヤーに初搭載した。しかし、「ドライヤー市場にポテンシャルを感じているものの、当社の業界認知が低く、事業規模も小さい。22年度のヘアドライヤーの出荷台数490万台の中で当社のシェアは数%程度。当社の空気清浄機に比べてもドライヤーの事業規模は10%程度で、歯がゆさを感じていた」(永峯英行シャープPCI・ヘルスケア事業部事業部長)ことから、美容領域を強化する。
プラズマクラスターは、主に3つの特長がある。1、OHラジカルの酸化力で除菌・消臭効果がある 2、プラスとマイナスのイオンで静電気を除去 3、水分子で囲まれたイオンで潤いを与える。特に2、3は「静電気を除去することはブラシと髪の静電気を除去でき“サラサラ”に仕上げ、肌や髪に水分子コートを形成し“艶々”にする」ため、ヘアドライヤーに適していることから、第1弾商品としてドライヤーを展開する。
プラズマクラスターのほか速乾にも注力し、髪表面を押し分け根元や広範囲に風を届ける技術“ドレープフロー X4”を開発。“プラズマクラスター ドレープフロードドライヤー〈IB−WX901〉”(4万4000円※編集部調べ)は、4つの吹き出し口により、乾燥性能を35%アップした。本体重量が約19%減、ノズルサイズが約50%となり、小型化・軽量化を実現。手首負担は約61%減少した。距離センサーとAIによる予測型の温度コントールも採用。ドライヤーと髪の距離に応じて熱ダメージを抑えることが可能となった。さらに、速乾のホットモードや熱ダメージ抑制のセンシング、約50℃の地肌ケアのスカルプなど好みに合わせて使用できる7つのモードを用意した。
そのほか、速乾性と小型化を両立した新デザインの<IB-P801>(3万2000円※編集部調べ)、従来タイプの<IB-P601>(2万円※編集部調べ)もそろえる。
「プラズマクラスター ビューティ」の発売を機に、ブランドアンバサダーに俳優の宮世琉弥を起用する。店頭のほかSNSなどでのプロモーション活動を強化。ブランド認知度向上と販路拡大を図る。
同社は、プラズマクラスター技術を空気清浄機や冷蔵庫など家電製品13品目に水平展開する。21年10月にはプラズマクラスター商品の出荷台数は世界で1億台を突破。30年度に2億台を目指す。