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ビューティ・ジャイアントの次の一手

三角ロゴモチーフのボトルデザインがインパクト大な香水“パラドックス”がヒット中の「プラダ」が、スキンケア&メイクアップ発売です。展開するのは、ビューティ業界で売上高断トツ1位のロレアルです。

ロレアル帝国の盤石ぶりは、7月24日号「WWDBEAUTY」の特集「2022年度版 世界のビューティ企業トップ100」をぜひご覧ください。ウェブ記事も本日7時公開です。ファッションもビューティも強いものが、さらに強くなる時代だなと思います。

「WWDJAPAN」副編集長
小田島 千春
NEWS 01

「プラダ」がビューティ市場本格参入 スキンケアとメイクアップを8月1日発売

「プラダ(PRADA)」がビューティ市場に本格参入する。スキンケアとメイクアップ製品をprada-beauty.comとprada.comで8月1日(現地時間)に発売する。8月18日には英ロンドンの有名百貨店ハロッズとセルフリッジでも販売をスタート。10月には、独ミュンヘンやフランクフルト、デュッセルドルフの香水専門店ダグラス、伊ローマの老舗百貨店リナシェンテも取り扱いを開始する。米国では2024年1月から実店舗で販売する予定。高級百貨店やショッピングモール、専門店、免税店など厳選した店舗で販売する。価格帯はリップスティックが45ユーロ(約7000円)〜、アイシャドウが80ユーロ(約1万2000円)〜、クリームが360ユーロ(約5万6000円)〜。 プラダ グループ(PRADA GROUP)とビューティ事業のライセンス契約を結ぶロレアル(L’OREAL)は売り上げについて言及していないが、年間の売上高は約2億5000万ユーロ(約392億円)と推定される。 業界筋によると、3年後には「プラダ」のスキンケアとメイクアップがブランド全体のビューティ事業の25〜30%を占めるとみられている。

グローバル・クリエイティブ・メイクアップアーティストにリンジー・アレクサンダー(Lynsey Alxander)を、eメイクアップアーティストにイネス・アルファ(Ines Alpha)を起用。ブランドの共同クリエイティブ・ディレクターであるミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)とラフ・シモンズ(Raf Simons)と協同で製品開発にあたる。アレクサンダー=グローバル・クリエイティブ・メイクアップアーティストは同時に、ファッションの公式メイクアップアーティストにも就任。9月21日にミラノで行うウィメンズのショーも担当する。

「プラダ」の共同クリエイティブ・ディレクターであるミウッチャ・プラダとラフ・シモンズは、ブランドのビューティライセンシーについて「今日の美とは何か?この問いが、ロレアルとの仕事の核心だった」と述べ、「今日の美とは、過去の固定観念を捨て去り、その人の個性、自由、そして自信を表現するものだと私たちは信じている」とビューティ製品への思いを語った。

ロレアル リュクス事業本部のシリル・シャピュイ(Cyril Chapuy)社長は、「22年に発売した『プラダ』の香水“パラドックス”の成功により、ウィメンズフレグランスにおけるブランドのリーダーシップが復活した。スキンケアとメイクアップ製品は、ブランドをさらなる高みに押し上げる新たな章への幕開けだ」と述べ、ビューティコレクションについて「現代のラグジュアリービューティの最高峰であり、優れた品質、画期的な技術革新、妥協のないサステナビリティへの姿勢を表現している」と説明した。ロレアルは21年1月1日に「プラダ」のビューティ事業のライセンスを取得した後、既存のフレグランス製品のポートフォリオを再び活性化させ、“ルナ・ロッサ オーシャン”や“パラドックス”といった新作を迅速に追加していた。

「プラダ」のビューティー事業のインターナショナル・ジェネラル・マネージャーであるヤン・アンドレア(Yann Andrea)は、「だからこそ今、『プラダ ビューティ』のグローバルな視点と視野を広げる絶好の機会だ」と指摘。ロレアル リュクス事業本部のシリル・シャピュイ=ロレアル リュクス事業本部 社長は「世界で最も魅惑的なクチュールブランドの一つである『プラダ』は若い世代と共鳴する特別な力がある。全てのラグジュアリービューティカテゴリーで卓越し、すぐにロレアル リュクス事業内の限られたビリオネア・ブランドの仲間入りを果たす可能性がある」と説明した。

ロレアル リュクス事業本部のポートフォリオにはファッションブランド発のビューティ製品として「アルマーニ ビューティ(ARMANI BEAUTY)」や「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)」「ヴァレンティノ ビューティ(VALENTINO BEAUTY)」の3つの柱がある。「ヴァレンティノ ビューティ」のメイクアップ発売から2年後に「プラダ」のメイクアップ発売となり、デザイナーズのメイクアップのラインアップを強化し続けている。

ロレアルにとってスキンケア(サンケアを含む)とメイクアップは最大の製品カテゴリーであり、22年のグループ全体の売上高382億6000万ユーロ(約6兆68億円)のうち、それぞれ40.1%と20.2%を占めている。またロレアル リュクス事業本部は22年、グループ最大の売上高を記録し、全体の38.3%を占めた。

「プラダ」は2000年9月に一度、プーチ(PUIG)とのライセンス契約の下、スキンケア製品を発売した。その後、ティントタイプのリップクリームも発売したが、同シリーズを終了していた。

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NEWS 02

ポーラ・オルビスHD23年1〜6月は、インバウンド需要復調で営業利益82.3%増

ポーラ・オルビスホールディングス(HD)の2023年1〜6月期連結決算は、インバウンド需要の回復やポーラが全チャネルで増収、オルビス、ジュリークも前年を上回り売上高が前年同期比9%増の858億円、営業利益は売り上げ拡大による粗利の増加により同82.3%増の89億円、経常利益が同28.3%増の113億円、純利益は前年に計上した法人税等調整額の減少などの影響を受け同32.1%減の74億円だった。

事業別ではビューティケア事業の売上高が同9.3%増の835億円。ポーラはエステや最高峰ブランド「B.A」が伸長し、売上高は同10.4%増の497億円だった。「オルビス(ORBIS)」は国内売り上げが好調で増収幅が拡大し、同9.7%増の209億円となった。そのほか、育成ブランドに属する「スリー(THREE)」はスキンケアシリーズ“バランシング”を拡充し、国内売り上げが回復。売上高は同2.6%減の27億円。「ディセンシア(DECENCIA)」も新規顧客獲得が復調傾向になり、売上高が同4.5%減の23億円となった。「ジュリーク(JURLIQUE)」は中国でフェイスオイルが好調のほか、オーストラリアや香港が2ケタ伸長で、売上高は5%増の38億円だった。

不動産事業の売上高は同0.3%減の10億円、その他の売上高は同1.4%減の12億円だった。

23年12月期連結決算は、「ポーラ」「オルビス」が好調に推移していることから業績予想を上方修正する。売上高は前期比8.2%増の1800億円、営業利益が同27.2%増の160億円(修正前は151億円)、経常利益が同17.2%増の175億円(同151億円)、純利益が同1.3%増の116億円(同100億円)を目指す。

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