客席は全員が最前列になるように作られている。理由は、こだわった素材やディテールをなるべく近くで見て知って欲しいからだという。"エレガンス・ソバージュ"をキーワードに掲げる今シーズンは、ウールやカシミアに加えて、アストラカンやビーバー、クロコダイルなどの野性を感じる素材を多く用いている。素材の持ち味を生かしたシンプルなアイテムが揃う。馬の尻尾とヤギのレザーをミックスした毛足の長いワイルドなコートが象徴的だ。
アイテムの多くは、オーバーサイズで、メンズライクなジャケットやコートを、肩にひっかけるようにしてさらりと着る。パンツはタック入りで、あえて大きめのサイズを着こなし、ワンピースとフレアスカートなどボリュームあるアイテムは重ね着することでさらにボリュームを持たせている。
シルクロードのオリエンタリズムがインスピレーション源のひとつで、印象的なプリントはペルシャ絨毯(じゅうたん)の柄から。プリントに見えて実は刺繍で柄を出したトップスなどハンドワークによる装飾もあるが言われなければわからないほどさりげない。モデルのタオが着た、グレーのセットアップは、カシミアフェルトのケープ付きプルオーバーとパンツ。贅沢なリラックスウエアだ。