ファッション

「ディオール オム」2015年春夏パリメンズ たった2年前もマリン。そことの違いは何か?

 「ディオール オム(DIOR HOMME)」の2015年春夏メンズ・コレクションは、マリンがベース。序盤は、シャドーストライプをのせた深海のようなブルーのセットアップ。いずれもボックスシルエットのジャケットに、テーパードパンツのコンビネーション。3ルック目は、ボタンの代わりにトグルで開閉するディテール。ここで、今回の「ディオール オム」は、マリンをベースにしていることに気付く。

 マリンと言えば、クリス・ヴァン・アッシュはわずか2年前のコレクションでも、マリン、特に海軍の制服にインスピレーションを得たコレクションを発表したばかりだ。振り返れば、当時もネイビーを基調にユニフォーム性の高いフォーマルを提案し、カジュアルではマリンボーダーのニットを打ち出すなど、今季との共通点は数多い。しかし、2年前はピタピタのタイトシルエットがメインだったのに対し、今回はボックスシルエットのジャケット、Aラインのマリンコート、スーツ地ながらバスケットボールショーツシルエットのパンツなど、厳格だったラインをリラックスにシフトチェンジしている。また、色使いも明るく、トリコロールカラーで作った太いピッチのマリンニットや、カナリアイエローのコートなど、爽やか。2年前の厳格なイメージとは異なるマリンだ。

 後半は、クレヨンで書きなぐったようなモチーフをのせたスーツやデニム。ウォッシュのかかったデニム地からリラックスシルエットのパンツを生み出し、それをクルクルッとロールアップさせてクロップド丈で履きこなす。足元は、ほとんどがトリプルベルクロのスニーカーだ。
 時に厳格すぎた「ディオール オム」のクリエイションは、近年ロマンティックな要素を強めたり、トロンプルイユ(だまし絵)のテクニックでハズしてみたり、そのイメージを緩和する傾向にある。この路線を歩み続け、「ディオール オム」のメゾンワークがあるからこそ生まれるエレガンス・カジュアルにさらに期待したい。

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