ファッション

「マーク ジェイコブス」2015-16年秋冬NY ダイアナ・ヴリーランドに捧げるデカダンスなドレス

 「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」のショーを開催した会場は、赤とグレーで描かれた部屋の絵が全面に掛けられている。これは、ジェレマイア・グッドマンが「ヴォーグ」の伝説的なエディターである故・ダイアナ・ヴリーランドが座っている部屋を写した作品からインスパイアされたセットデザインだ。会場には、人々が麻薬の罠にはまってゆくストーリーを描いたダーレン・アロノフスキー監督の映画「レクイエム ・フォー・ドリーム」のサウンドトラックの曲が流れる。

 ファーストルックは、タイトな黒いチェックのドレスに幅の広いスパンコールのバンドがボーダー柄のようにあしらわれているドレス。白い肌にパープルがかったグレーのアイシャドウ、深紅で彩られたリップが、退廃的なムードを際立たせる。

 次第にダイアナ・ヴリーランドを想起させるようなウエストを絞ったジャケットに床に付くほどのボリュームのあるロングスカート、パテントレザーのブーツとグローブを合わせたスタイルが多く登場する。それをベースにブロケードやレオパード・プリント、ミンクファー、光沢のあるシルクやエンブロイダリー、スネークプリントなどのさまざまな装飾やカラーが加えられ、華美で豪奢になっていく。ときにオーバーサイズのチェスターフィールドのコートを肩からはおったり、メンズライクなグレンチェックのワイドパンツを合わせたりするマスキュリンなスタイルをプラスしたり、下着が見えるほどの黒のシースルーのスカートを合わせるフェティッシュなスタイリングは、どんなスタイルも自分のものにしてしまうダイアナ・ヴリーランドのような意志の強い女性を感じさせる。今シーズンは、そんな彼女のスタイルや生き方にオマージュを捧げたコレクションだ。

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