モノが素晴らしくても、「届ける」にまで思いを馳せないと売れない時代。「マクアケ(MAKUAKE)」で多数の応援購入という形で支持されるプロジェクトは、モノづくりからコミュニケーションに至るまでの設計の何が違うのか?この連載では、モノづくり企業に伴走するキュレーターが成功体験を伝授。時にモノづくり企業が苦手とする、訴求ポイントの整理からターゲットの設定、トップ画像やキャッチコピーに至るまでのコミュニケーション上の工夫を伝授してもらう。今回は、TOKYO BASEが機能性の高い白Tシャツをファッション訴求して共感を得た話。
今回お話を伺ったのは、TOKYO BASEの取り組みです。同社は“メード・イン・ジャパン”にこだわり、国内外で78のショップを運営するファッション企業です。谷正人代表が前職時代に新規事業としてセレクトショップ「ステュディオス(STUDIOS)」をスタートし、その後MBO(マネジメント・バイアウト)という形で独立。「TOKYOブランドに特化したセレクトショップ」というコンセプトが人気を集め、アパレル業界では最速・最年少の創業6年半で東証マザーズに新規上場し、2016年にTOKYO BASEに商号変更。現在は「日本発を世界へ」を体現すべく、「ステュディオス」「ユナイテッド トウキョウ(UNITED TOKYO)」「パブリック トウキョウ(PUBLIC TOKYO)」「エープラストウキョウ(A+ TOKYO)」「ザ トウキョウ(THE TOKYO)」を手掛けています。
今回TOKYO BASEが「マクアケ」で実施したプロジェクトは、「パブリック トウキョウ」の白いTシャツ「極黄ばまないTEE」。汚れがつきにくく、なおかつ簡単に落ちるプロテクリア加工で白さを維持するTシャツです。
「パブリック トウキョウ」は、日用品ではなく「嗜好品ファッション」としての商品作りをコンセプトに、着用すれば格好よく気分が上がる洋服を開発したいと考えています。通常の商品は、複数の色展開カラーですが、今回「パブリック トウキョウ」は初めて、白1色のみのTシャツを作りました。白Tにこだわったのは、夏のオシャレの明暗を分ける鉄板アイテムであるにもかかわらず、黄ばみや汚れが目立ちやすく、着ていく場所を選んだり慎重に扱わなくてはならなかったりという多数の課題があったからです。
「マクアケ」のプロジェクトを通して集まった応援購入の金額は648万円を突破。購入の決め手として「よく食べこぼしをしてしまうので、夢のような白Tシャツです!」「白Tをキレイに着こなしたいと思っていました」「モノを長く大切に使う時代にぴったり」など、期待や共感の声が数多く集まっています。早くも一般販売を望む声も多く、来シーズンに向けて検討予定とのことです。
訴求ポイントの整理
実行者の思い
白Tシャツで起こりがちなデメリットをなくしたいという思いから、「パブリック トウキョウ」は「できる・できないは関係なく、白Tシャツの本来あるべき姿とは何か」を問い続けていました。ある日チームのデザイナーが「黄ばまない、醤油やラー油の汚れも落ちるTシャツがあったら?」と言ったことから開発が進み、皮脂油や醤油、ラー油、ケチャップ、カレー、食用油がしっかり落ちる白Tシャツが完成しました。
ユーザー分析
TOKYO BASEの顧客のボリュームゾーンは20〜30代ですが、白Tシャツは年齢関係なく、幅広い世代の人が購入・使用できるアイテムと考え、既存の顧客以外の年齢層にもアプローチしたい思いがありました。男女も問わず、誰もが使え、あらゆる体形の方に着ていただけるよう開発を進めました。ただ、その中でも「汚れないという機能だけで買うのではなく、ファッションアイテムとしてデザインが格好よいから着たい」というファッションに興味のある人をメーンターゲットに設定しました。
キャッチコピーやトップ画像の工夫
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