ファッション

「ケンゾー」2015-16年秋冬パリ ロゴを封印したエレガンスの追求は継続 森と共存するタフな女性たち

 ガランとした広大なスペースの会場に大きな壁。スペクタルなショーを見せる「ケンゾー」としては簡素なセットが用意された。と思いきや、ショーが始まるとファーストルックのモデルが歩くと同時に、後ろの巨大な壁が同じスピードでモデルを追いかけるように動き出す。次第に壁は分離し、横2メートル縦6メートルの四角柱になってランウエイを自在に動いていく。度肝を抜かれた。巨大な柱がモデルのウォーキングのリズムに合わせて規則的に動くのだから。

 コレクションは、マスキュリンなマントコートとハンカチーフヘムのスカートを合わせたファーストルックが象徴するように、オーバーサイズのミリタリーウエアをベースとしたメンズライクなアイテムと女性らしいものをレイヤードしたスタイルが中心。袖口にかけて広がるニットトップといった動きのあるアイテムも多い。無骨なコートとひらひらと揺れるヘムの動きとのコントラストが印象的だ。

 昨シーズンから、ボリュームコントロールで服のフォームにフォーカスし、エレガンスを求めたコレクションを見せているが、今シーズンはその流れがさらに加速。フォームの追求はもちろん、ビジュー刺しゅうやハンドメイドプリーツといった手の込んだディテールも加えた。とはいえ、ビジュー刺しゅうにはストロービーズを加えたり、白いラインを効果的に走らせスポーティーな要素をプラスしたりして、あくまでコンテンポラリーでフューチャリスティックなムードに仕上げている。

 今回、はじめて登場したフラワーモチーフは、カモフラージュ柄で表現。アーカイブをアイデア源にしているが、彼ららしくポップに調理した。キーワードは「森との共存」。森に生き抜く力強い女性像だ。

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