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「ルイ・ヴィトン」が腕時計“タンブール”の新作を9月に発売 ウオッチの高級路線化で現行モデルの約80%を廃番に

ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」は、アイコニックなウオッチ“タンブール(TAMBOUR)”をシックかつスポーティーに再解釈した新作を9月に発売する。また、ウオッチの高級路線化を進めるため、今回の新作発売を前に現行モデルの80%程度を順次廃番とする。

新作は、直径40mmで厚さ8.3mmの薄型ケースとメタルブレスレットを一体化したユニセックスモデルで、ステンレススティール製を2型、ゴールドを2型、ステンレススティールとゴールドを組み合わせたものを1型の計5型を用意した。価格は“タンブール オトマティック スティール(Tambour Automatic Stainless Steel)”のブルーとシルバーがそれぞれ261万8000円で、ほかのモデルについては近日中に発表する。

ジャン・アルノー(Jean Arnault)=ルイ・ヴィトン ウォッチ部門マーケティングおよびプロダクト・ディベロップメント・ディレクターは、「これまでのモデルは平均4000ユーロ(約63万円)程度だったが、今後は2万ユーロ(約316万円)以上となる。一気にこれだけ価格帯を上げるのは、『ルイ・ヴィトン』全体で見ると大したことではないかもしれないが、ウオッチ部門としては大胆な変革でありギャンブルだ」と語った。新作については、「年間の売り上げ目標は設定していない。少しずつ着実に成長させ、顧客やブランドの正当性にとって申し分のないものに育て上げていきたい」と意気込みを見せた。

100モデル以上ある現行ラインアップのうち継続が決定しているのは、“タンブール ホライゾン ライト・アップ(Tambour Horizon Light Up)”や、2021年に発売した“タンブール ストリート ダイバー(Tambour Street Diver)”のほか、複数のウィメンズモデルやハイエンドモデルなど、およそ20モデル程度。同氏によれば、廃番となるモデルの製造は18カ月前から中止していたという。

こうしたウオッチの高級化は長期的な戦略であり、今回のコレクションの結果にかかわらず、2030年まで継続する。なお、現在「ルイ・ヴィトン」のウオッチを買い求めるのは、腕時計をファッションアクセサリーとして購入する顧客と、熱心な腕時計コレクターに大別できるという。高価格化によって前者の顧客層を失う可能性もあるが、それは覚悟していると同氏は説明する。「私たちのゴールは、みんなに(『ルイ・ヴィトン』の)腕時計を着けてもらうことではない。価格を下げ、大量に売ることで事業を拡大することに興味はない。職人のノウハウを高め、それを注ぎ込んだ製品を作り、長年のコレクターや当ブランドの熱心な顧客に心から満足してもらえるハイエンドな作品を届けたいと考えている」。

「ルイ・ヴィトン」は02年に初のウオッチコレクションとして“タンブール”を発表して以来、ウオッチメイキングのアトリエ、「ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトン(La Fabrique du Temps Louis Vuitton)」に投資している。同氏は、「幸運なことに、私たちの部門はウオッチメイキングに情熱のある、大きなメゾンの一部だ。短期間で投資のリターンを得ることを考えずに、のびのびとした発想でハイエンドなウオッチを作ることができる」とコメントした。

なお、今回の新作モデルは「ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトン」初の自社製自動巻き3針ムーブメント、キャリバーLFT023を搭載しているが、これはスイスを拠点とするムーブメントのスペシャリスト、ル・セルクル・デ・オルロジェ(LE CERCLE DES HORLOGERS)と共同で開発・設計した。「当社のみで開発した場合、堅牢性など全ての面で満足できるものを作るには4〜5年かかってしまう。完全に自社製だと言うためだけに、信頼性の低い製品を発表したくなかった」。

また、今後は頻繁に新製品を発表するのではなく、さらなる複雑機構の開発や、完全オーダーメードの時計作りを優先する。これは職人の人数による製造キャパシティーなどの問題もあるが、それだけではないという。同氏は、「最近は(大量に)消費することより、クラフツマンシップを尊ぶようになってきている。腕時計を10本購入する代わりに、たった1本の、しかしとてつもなく素晴らしい品を手に入れたいと考える人が増えており、そうした意味でも当ブランドの戦略は時代の動きとマッチしている」と分析した。

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