9月に入り、ニューヨーク(NY)を皮切りに、海外の2024年春夏ウィメンズ・ファッション・ウイークが本格的に開幕する。今季は「グッチ(GUCCI)」や「トム フォード(TOM FORD)」「ヘルムート ラング(HELMUT LANG)」などが新クリエイティブ・ディレクターによるデビューショーを開くほか、「マルニ(MARNI)」はパリでの発表を予定。公式スケジュールに復帰してショーを開くブランドも数多い。NY、ロンドン、ミラノ、パリ各都市の見どころを紹介する(日時はすべて現地時間)。
NEW YORK
9月8〜13日に開催されるNYファッション・ウイーク(NYコレ)の目玉は、ピーター・ドゥ(Peter Do)がクリエイティブ・ディレクターに就任した新生「ヘルムート ラング」だ。デビューに先駆け、ドゥは「『ヘルムート ラング』のレガシーを守りながら、私自身の視点とクリエイティビティーを吹き込むことに全力を注いでいる。ブランドのエネルギーみなぎる新章で、NYコレの幕開けを飾ることを楽しみにしている」とコメント。初日8日の14時からショーを開く。また、「ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)」や「3.1 フィリップ リム(3.1 PHILLIP LIM)」も、4年ぶりにNYコレでランウエイショーを開催。オフスケジュールでは、7日夜に「コーチ(COACH)」が、8日朝に「ケイト・スペード ニューヨーク(KATE SPADE NEW YORK)」が新作を発表する予定だ。
なお、アメリカファッション協議会(COUNCIL OF FASHION DESIGNERS OF AMERICA)の会長であり、7月に設立20周年を記念したオートクチュールをパリで披露したトム・ブラウン(Thom Browne)率いる「トム ブラウン(THOM BROWNE)」はNYFW期間中の発表を予定しておらず、「今後、NYと海外の両方でブランドの20周年を祝う一連の取り組みを計画している」としている。
LONDON
9月15〜19日に開かれるロンドン・ファッション・ウイークは、若手から中堅の復帰組が多数。「アシッシュ(ASHISH)」や「チョポヴァ ロウェナ(CHOPOVA LOWENA)」「ステファン クック(STEPHANE COOKE)」「ハルパーン(HALPERN)」「フーシャン ザン(HUISHAN ZHANG)」「フィービー イングリッシュ(PHOEBE ENGLISH)」「スプリヤ レーレ(SUPRIYA LELE)」「ノウルズ(KNWLS)」などがロンドンのランウエイに戻ってくる。また16日には、英国ファッション協議会(British Fashion Council以下、BFC)による若手デザイナー育成・支援プログラム「ニュージェン(NEWGEN)」の30周年を記念した展覧会「リベル:ロンドンファッションの30年(REBEL:30 Years of London Fashion)」も、デザインミュージアムで開幕。同プログラムから巣立ち、人気ブランドに成長した「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」は16日、「シモーン ロシャ(SIMONE ROCHA)」は17日にそれぞれ新作を発表する。さらに「バーバリー(BURBERRY)」は、18日にダニエル・リー(Daniel Lee)就任後2回目のショーを行う予定だ。
MILAN
9月19〜25日に開催予定のミラノ・ファッション・ウイークで注目すべきは、やはりアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)の後任としてクリエイティブ・ディレクターに就任したサバト・デ・サルノ(Sabato De Sarno)による新生「グッチ」、そしてNYからミラノに発表の場を移し、創業者の後を継いだピーター・ホーキングス(Peter Hawkings)による「トム フォード」のデビューだ。「グッチ」は22日15時、「トム フォード」は21日21時にショーを開催する。また、「バリー(BALLY)」も2シーズンで退任したルイージ・ビラセノール(Rhuigi Villasenor)であるシモーネ・ベロッティ(Simone Bellotti)が手掛ける初のコレクションを23日17時からお披露目する。
一方、「トッズ(TOD’S)」は、すでに退任が発表されているヴァルター・キアッポーニ(Walter Chiapponi)によるラストショーを計画。ジェレミー・スコット(Jeremy Scott)が去り後任が未定の「モスキーノ(MOSCHINO)」は、設立40周年を記念して、ケイティ・グランド(Katie Grand)やガブリエラ・カレファ・ジョンソン(Gabriella Karefa-Johnson)ら著名スタイリスト4人が創業者フランコ・モスキーノ(Franco Moschino)の作品から着想を得たコレクションを制作する。グレン・マーティンス(Glenn Martens)による「ディーゼル(DIESEL)」は再び一般客も招き、開かれたファッションショーを見せる。チケットは、6日からブランドの公式サイトで先着順に配布予定だ。
PARIS
9月25日〜10月3日に行われるパリ・ファッション・ウイーク(パリコレ)は、108ブランドが公式スケジュールに名を連ねる。NYや東京などシーズンごとに異なる都市でのショーを続けているミラノ発の「マルニ(MARNI)」は今季、9月27日15時半からパリでコレクション発表を予定。半年前はパリ・メンズ・ファッション・ウイーク(パリメンズ)のトリに男女合同ショーを行った「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」も、今回はウィメンズのファッション・ウイークに復帰し、10月2日21時からショーを開く。また、1月には“シーナウ・バイナウ(See Now, Buy Now)”形式のコレクションを見せた「ミュグレー(MUGLER)」は一転して、他のブランドと同様に半年先に発売するコレクション(24年春夏)を披露予定だ。
新クリエイティブ・ディレクターによるデビューショーは、「ラコステ(LACOSTE)」を率いてきたルイーズ・トロッター(Louise Trotter)が就任し、5年ぶりにパリのランウエイに復帰する「カルヴェン(CARVEN)」と、わずか半年でブランドを去ったルドヴィック・デ・サン・サーナン(Ludovic de Saint Sernin)の後任として内部昇進した27歳のステファノ・ガリーチ(Stefano Gallici)が手掛ける「アン ドゥムルメステール(ANN DEMEULEMEESTER)」。どちらも9月30日にショーを開催予定だ。一方、「クロエ(CHLOE)」はパーパス・ドリブンなブランドへの改革の立役者となったガブリエラ・ハースト(Gabriela Hearst)による最後のコレクションを28日に発表する。
また、NYの「ピーター ドゥ(PETER DO)」やオランダの「デュラン ランティンク(DURAN LANTHINK)」がパリコレデビューを果たすほか、過去3シーズンはオフスケジュールでウィメンズ・コレクションを発表してきた「キコ コスタディノフ(KIKO KOSTADINOV)」も公式スケジュール入り。「カサブランカ(CASABLANCA)」は、パリメンズから発表の場を移す。オフスケジュールでは、X JAPANのリーダーであるYOSHIKIが手掛けるブランド「メゾン ヨシキ パリ(MAISON YOSHIKI PARIS)」が、新たに立ち上げたウィメンズラインのファッションショーを開く予定だ。