「セオリー(THEORY)」は2024年春夏コレクションを9月9日(ニューヨーク現地時間)、チェルシーのオフィスで発表した。
ショーの冒頭、同ブランドのジェフリー・カミンスキー(Jeffrey Kalinsky)=チーフマーチャント兼チーフクリエイティブオフィサーは「今日は生地を通してユニホームについて話す」と話し始めた。ユニホームについては、コレクションノートにも書かれていた。最高のユニホームは着る人を引き立てるーー。ユニホームで大切なアイテムは“最高のTシャツ””ボタンダウンシャツ””最高のポロシャツ”“最高のペンシルスカート”ーー。それらを合わせた時に最高のワードローブが生まれるーー。ここで言うユニホームとはそれぞれが袖を通した際に一番心地良く、際立つ服のことで“ユニホーム”は着る人によって異なるものである。
ファーストルックに登場したのは、コットンのボタンダウンシャツとウールのペンシルスカートだ。いたって潔いスタイリングだが、ボクシーなボタンダウンシャツはメンズライクで、リーンなシルエットのペンシルスカートをコーディネートすることでシンプルになりすぎない絶妙なバランスをとっている。ショーの最中、カミンスキーはマイクで一体一体の素材やシルエットを説明。モデルたちは白で統一した空間をゆっくりとキャットウォークし、服をゆっくりと鑑賞する鑑賞会のようでもあった。服を見る、という行為に集中できる演出だ。
ショーの前半は、ウールで仕立てたグレーや黒のペンシルドレスやジャケット&パンツのスタイリングが続く。カラーパレットはネイビー、エクリュ、ピュアホワイト、シルバーと徐々に変化。同じウールのコーディネートもパターンの妙で波打つような流れを生み出し、表情に変化をつける。リネンのシリーズは夏の乾いた避暑地を彷彿とさせ、クレープやメリノウールで仕立てたアイテムはセンシュアルな女性像を引き立てる。メタリックシルクツイルのシリーズは素材の張り感と色合いでフューチャリスティックな雰囲気を演出した。ジャケット&パンツのスタイルは働く女性の一着、スパンコールのペンシルドレスはナイトアウトのお気に入り。女性たちのワードローブに欠かせないアイテムが集約されている。
シンプルな提案はメンズライクなアイテムとエレガントなアイテムを組み合わせることでコントラストを生み出し、同色のコーディネートもスパンコールやプリント、メタリックなシルクを使うことでスパイスを加えた。ウエストを絞った女性らしいジャケット、モデルの体を包み込むように体に沿ったミニドレスなど、削ぎ落とすことで見えてくる「セオリー」の精巧なテクニックを改めて披露した。