ロレアルとユネスコ(国際連合教育科学文化機関)は3月19日、生命科学分野で目覚ましい業績を挙げた女性科学者を表彰する「ロレアル−ユネスコ女性科学賞」の受賞者5人と、生命科学分野の若手女性科学者を支援する奨学金部門「ロレアル−ユネスコ女性科学賞国際奨学金」の受賞者15人を発表した。授賞式は、パリのソルボンヌ大学で開催された。
16回目を迎えた今回は、「ロレアル−ユネスコ女性科学賞」受賞者が欧州、北米、南米など各地域から選出された。アジア太平洋地域からは、免疫システムを研究する稲葉カヨ・京都大学 副学長兼京都大学女性研究者支援センター長兼京都大学大学院生命科学研究科教授が選ばれ、賞金10万ドル(約1020万円)が授与された。
また若手支援の「ロレアル−ユネスコ女性科学賞 国際奨学金」では、初の日本人受賞者が誕生。高齢者の軽度認知機能障害を食事で予防できると発表した小澤未央・九州大学大学院医学研究院環境医学分野久山町研究室学術研究員が受賞した。小澤研究員には、自国以外の研究機関で2年間にわたって研究を継続できるよう、4万ドル(約408万円)が渡された。
ボストンコンサルティングによると、女性科学者をとりまく研究環境は依然として厳しく、世界の研究者のうち女性の割合は全体の3分の1以下という。ロレアルのジャンポール・アゴン=会長兼最高経営責任者は「昔以上に科学は女性を必要としている」と語り、支援の重要性を説いた。なおロレアルは3月8日、女性科学者を支援するウェブサイト「Discov He(r discov-her.com/en)」をローンチした。