近年、経済全体の成長鈍化が懸念される中国だが、ビューティ市場は2013年も堅調に推移するとの見方が強まっている。中国の化粧品業界アナリストのケビン・デルーアースラニアンは、「化粧品業界全体では、楽観的な見方が強い。中国の経済成長率は、10 年度が前年比110.4%、11年が同109.2%、12年第3四半期が107.4%と鈍化傾向にある。しかし化粧品の小売り売上 高をみると、10 年度は同116.6%、11年度は同118.7%、12年度の1~10月期は同116.5%と順調に推移している。一部の新興の中級階級や富裕層は、経済不安を理由に むやみに高級品を買うようなことは避ける傾向にあるが、 市場が成長傾向にあることには変わりない。ロレアルも エスティ ローダーも上半期は、中国では依然として 2ケタ成長が続いている」とコメントした。 近年の新たな傾向としては、「ナチュラルコスメへの関 心が高まっている」という。「若年層を中心に『オリジンズ』 やシャンハイ ジャワ コスメティクスの『ハーボリスト』など 自然由来成分を配合し、安全性をうたうブランドが人気」。 また「ハーボリスト」などの中国企業による製品が人気 を高める一方、グローバル企業も攻勢を強めている。エスティ ローダー社は 11月、中国専売ブランド「オシアオ」を香港で発売した。中国の薬草を原料に使用するなど、徹底的にローカライズした製品だ。14 年初頭に中国全土で展開をスタートするという。エスティ ローダーはほかにも、中国で一部スキンケア製品を約30%値下げするなど、本格的にシェア獲得に乗り出している。中国市場がビューティ業界にとって無視できない存在であることは、13 年度も変わらぬ事実となりそうだ。