アメアスポーツジャパンが運営するカナダ発のアウトドアブランド、「アークテリクス(ARC'TERYX)」の西日本の旗艦店「アークテリクス 大阪 心斎橋ブランドストア」が、心斎橋の長堀通り沿いにオープンした。地上3フロアで、売場面積は537平方メートルは国内最大規模。9月にオープンした東京・銀座のギンザシックス店に続く国内15店舗目の直営店となる。心斎橋店の1番の特徴は、ブランドとして世界初となるカフェスペースを3階に常設したこと。カフェでイベントも開催し、コミュニティーのハブとなることを目指す。
1階がウィメンズとバックパックの売り場、2階はメンズと、都会向けコレクション「ヴェイランス(VEILANCE)」のショップインショップ、3階は「BETA CAFE(ベータ カフェ)」と、サステナビリティプログラムを推進する「ReBIRD(リバード)サービスカウンター」で構成する。「リバードサービスカウンター」を併設する直営店は、2022年10月にオープンした東京・丸の内の旗艦店に続く国内2店舗目で、世界では6店舗目。
「ベータ カフェ」は、地元大阪を中心に展開するカフェ「エルマーズグリーン」と組み、オリジナルブレンドのコーヒーと、カナダの伝統的なスイーツ「ナナイモバー」などここでしか味わえないメニューをそろえた。オリジナルブレンドには、創業地バンクーバーに近いクライミングの聖地やバックカントリースキーの名所などの名前をつけており、その地を思わせる味わいを開発。カフェ壁面にはビジュアルイメージのパネルを展示するほか、クライミングに関する書籍や音楽などでブランドの世界感を表現した。
「ベータ カフェ」のベータとは、クライミング用語で「情報交換・情報シェア」の意味。「ここでお客さまが新しい情報を交換したり、シェアしたりしてコミュニティーの軸となることを目指している。コーヒーとアウトドアは親和性が高いので、五感を活かして幅広いお客さまをブランドの世界に引き込みたい」と、小林将宏リテールヘッドは狙いを話す。今後、アウトドア初心者に向けたギアを使いながらのセミナーなどを、カフェスペースで開催予定だ。
丸の内のリペアカウンターは
毎月120人が利用
「リバードサービスカウンター」は事前予約制で、製品のケアや手入れ方法の案内と相談、修理の受け付けを専門スタッフが対面で行う。穴空きにパッチを貼りつけるホットプレスや、水漏れを確認するリークテスト機など、丸の内店にはないリペア機器も設置。預かり修理だけでなく、応急処置としての簡易な店頭修理に対応する。
「リバード」とは、“デザインの力で循環を促す仕組み”のことで、リケア(ReCare)、リギア(ReGear)、リカット(ReCut)の3つのコンセプトで成り立っているという。「この中で最も重要なのがリケア。アウトドアアイテムにとっては日頃のメンテナンスが重要で、『ゴアテックス』のハードシェルジャケットも自宅で洗濯をすれば、長持ちする。洗うことで高いパフォーマンスを長く発揮でき、製品を使い続けることで環境負荷を減らすことができる。ここでは啓蒙活動として、日頃の洗濯の大切さをきちんと伝えていきたい」と小林リテールヘッド。現在、日本では3つのコンセプトの中でリケアに注力しているが、下取りした製品を補修、再販するリギア、製造過程で出た残反などをアップサイクルするリカットも、体制が整えば順次導入していく考えだ。
丸の内店の「リバードサービスカウンター」は、オープン以来毎月約120人のユーザーが利用しているという。リペア方法に関する問い合わせが多く、ファスナーの取っ手の修理がその場でできることも好評。今年5月には、アウトドアウエア専門のクリーニング業者と組み、「ゴアテックス」のシェルを洗うキャンペーンを全店で実施したところ、1カ月で計500件の申し込みがあった。手応えを得て、10月にも同様のキャンペーンを予定する。
ギンザシックス店は「予想以上に好調」
オープンから約3週間が経ったギンザシックスの店舗は、予想以上に好調な滑り出しという。「日本を代表するショッピングエリアへの出店はチャレンジだったが、オープン初日から既存のファンはもちろん、ギンザシックスの顧客やアジアを中心としたツーリストが来店している。新規客がブランドと出合う場になっているのを実感している」。中国本土をはじめ、台湾、韓国でもアウトドア市場が活況となっており、訪日客のさらなる増加にも期待を寄せる。
銀座、心斎橋に続き、10月には福岡・天神に九州初の路面店をオープン予定。福岡を拠点とするアートユニットとのコラボイベントなど、地元に根差した店舗を目指す。