ジュゼッペ・インプレッツァビレ/「メオ フシューニ」創業者 プロフィール
1977年、イタリア・シチリア島生まれ。幼少期をシチリアの海岸で過ごしたのち、ピアツェンツァで工業化学を学んだ後、パルマ大学薬学部で学ぶ。2010年から現職
イタリア発フレグランス「メオ フシューニ(MEO FUSCIUNI)」は、大学でハーブを学んだ化学者ジュゼッペ・インプレッツァビレによるニッチなブランドだ。彼は、イタリア・シチリア生まれ。遊牧民の家系に生まれ、大学卒業後は、モロッコやトルコ、中東など、世界各地を旅しながら、植物を始め、ハーブとスパイスの知識を高めた。空間演出のアーティストとして活躍後に独学で調香を学び、同ブランドをスタートした。旅や詩、音楽などを通して得たものを嗅覚の記憶として香りで表現。刺激的でユニークでありながらも素朴さのある香りを提案している。日本では、「ノーズショップ(NOSE SHOP)」が販売。来日したインプレッツァビレに、クリエイションについて聞いた。
WWD:今回の来日の目的は?
ジュゼッペ・インプレッツァビレ「メオ フシューニ」創業者(以下、インプレッツァビレ):「ノーズショップ」とのコラボレーションがスタートしたので、日本の香水市場について学びたかったのと、われわれのブランドに対してどのような関心があるか知るために来日した。また、日本で訪問したことのない場所に訪問することも目的だ。日本が大好きで、この来日を心待ちにしていた。
WWD:フレグランスブランドを立ち上げようとしたきっかけは?
インプレッツァビレ:私は、化学者で薬草学者。本来であれば、他の道に進むはずが、自然や芳香植物が好きで、科学と芸術を結びつける錬金術へ興味があったから2010年に「メオ フシューニ」を立ち上げた。私は独学で調香を学び、日々、研究を続けている。
WWD:ブランド哲学は?
インプレッツァビレ:香水を嗅覚の美学として捉えて、感情へ導く香水をつくること。嗅覚の記憶をつくり出すことで、人々に忘れていた人生の記憶を再発見してもらうことが大切だと考える。それぞれの香水は、私たち自身を理解するための物理的な旅を描いた物語のようなもので、精神状態を表現するものでもある。
WWD:「メオ フシューニ」が他のフレグランスブランドと違う点は?
インプレッツァビレ:このブランドは、自分の人生の物語を伝えるものだと考えるので、ユニークな存在だと考える。このブランドをリアルで本物にすることに集中している。
私にとって香水は画家や作家の作品のようなもの
WWD:ブランドを代表する香りは?
インプレッツァビレ:「ノーズショップ」で扱っているものだと“アンコール・デュ・タン”や“ルーチェ”などが人気だが、特にベストセラーはない。その方がいいと思う。なぜなら、ベストセラーがあれば、人々はその特定の香りに関心を持つだろうから。
コレクションは多様で、香りのファミリーだけでなく、ムードも全く異なる。
WWD:どのように香水をつくるか?香水の特徴は?
インプレッツァビレ:香水のクリエイションは親密で個人的なもの。だから、一人でアトリエで多くの時間を過ごす。インスピレーション源は、旅や物語。それを伝える最高の原料を探す研究を始める。そして、原料やそれを取り巻く自然との親密感やフィーリングを表現する。
WWD:ターゲットは?
インプレッツァビレ:感情にフォーカスした異なる嗅覚体験をしたいと思う人々。ブランドの名前も聞いたこともない人が、通常の香水と違うものを探してわれわれのブランドの世界に足を踏み入れて驚くこともある。
WWD:現在、何ヵ国、何店舗で販売しているか?
インプレッツァビレ:約50カ国、約300店で販売している。主要市場は、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアだ。
WWD:多くのニッチフレグランスがあるが、どのようにそれらと戦うか?日本戦略は?
インプレッツァビレ:競合はいない。市場を意識したことも、商品を売ろうと思ったこともない。日本戦略は、頻繁に来日することだと考える。
WWD:自身にとって香水とは?
インプレッツァビレ:私にとって香水とは、人生の衝動。画家や作家の作品と同様に、世界に私自身を伝える方法だ。香水とは、記憶であり、感情であり、愛であり、苦悩であり、情熱だ。ノスタルジーや幸福でもあり、私の心に語りかけてくる物語を語るための唯一のツール。私たちの影を形作る魂のようなものだ。