「コーチ(COACH)」はこのほど、米アマゾン(AMAZON)に出店した。同ブランドのロゴを掲げたオンラインストアが開設されており、バッグや革小物、フットウエア、ジュエリー、ウオッチ、アイウエア、フレグランスなどが取りそろえられている。また、“タビー(TABBY)”バッグをあらゆる角度から見ることができる機能や、ブランドの歴史やストーリーを伝えるページも設けられている。
アマゾンにとって、ファッション分野の強化は長年の懸案事項だ。下着などの消耗品やベーシックな衣料品をアマゾンで購入する消費者も多いため、アパレル分野でもかなりの売り上げがあると推測されるが、よりファッション性の高い商品やラグジュアリーアイテムでは長年にわたって試行錯誤を繰り返している。2020年9月には、ラグジュアリーブランドを取り扱うアプリ「ラグジュアリーストア(Luxury Stores)」をオープン。その第1弾として「オスカー デ ラ レンタ(OSCAR DE LA RENTA)」が参加しているものの、その後はめぼしいラグジュアリーブランドを獲得できていない。
なお、20年1月の時点で、アマゾンはLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)の傘下ブランドにも出店を打診したが、すげなく断られたという臆測が広まっていた。これに対し、ベルナール・アルノー(Bernard Arnault)LVMH会長兼CEOは当時のアナリスト向けの決算説明会で、「そうした大手プラットフォームから何度か打診を受けたが、そのたびに断っている」と話している。
こうした事柄の要因として、模倣品への不安や、ブランドイメージが毀損されることへの懸念などがあると思われるが、アマゾンは近年「ヴァレンティノ(VALENTINO)」や「カルティエ(CARTIER)」などのブランドと共同で模倣品販売業者を提訴したり、AIを駆使して模倣品対策を強化したりと、模倣品の撲滅に本腰を入れて取り組んできた。最近では、ラグジュアリー分野ではないものの、「リーバイス(LEVI'S)」「ギャップ(GAP)」「ヴィクトリアズ・シークレット(VICTORIA'S SECRET)」などがアマゾンに出店している。