上海発−ロレアルは5月から「イヴ・サンローラン」の化粧品を中国で販売する。1号店を上海・南京路に位置する上海梅龍鎮伊勢丹の化粧品フロアに出店し、フレグランス、カラーメイク、スキンケアを販売する。
ロレアルによると、同社の中国における2012年度売上高は、対前年比112.4%の14億7000万ユーロ(約1896億3000万円)。現在はランコム、キールズ、羽西(ユーサイ)などを展開し、ラグジュアリーコスメブランドは972の百貨店、140のセフォラ、68の空港で販売し、12年連続の2ケタ成長を記録している。
ロレアルが中国戦略で重視しているのが、上海や北京などの主要都市に加え、大都市の周辺都市にも積極的に出店することだ。1997年には上海から200kmほどの杭州市にランコムの売り場をオープンし、今では世界トップ5の売り上げを誇るまでに成長させた。ランコム チ左から、イヴ・サンローランの化粧品の中国上陸を発表したロレアルグループのジャンポール・アゴンCEO、ニコラス・ヒエロニマス=ロレアル リュクス部門プレジデントャイナのトップのローレンス・マー社長は、「大都市の周辺都市には、そこまでラグジュアリーブランドに精通しているわけではないが、裕福な女性がたくさんいる」と語る。ジャンポール・アゴン=ロレアル会長兼最高経営責任者(CEO)も「ラグジュアリーブランドに憧れる女性たちは、バッグや洋服の前に手に、プレステージブランドの化粧品を手に取る。大都市はもちろん、これから発達する都市にも積極的に攻勢をかけ、次世代の富裕層を獲得していく」と語った。またアイテム展開については、「現在はスキンケアが売り上げの大半を占めるが、30歳以下を中心にフレグランスやカラーメイクに関心がある女性が増えている。今後スキンケアと同比率まで、売り上げが伸びるだろう」とアゴン会長兼CEOは分析。今後、アジア向けに改良したアイテムも投入していくという。
またロレアルは、3月31日終了の2013年度第1四半期決算も発表。売上高は対前年同期比105.1%の59億3000万ユーロ(約7649億7000万円)で、リュクス部門、コンシューマープロダクツ部門、アクティブ コスメティックス部門がけん引し、増収だった。部門別の売上高は、リュクス部門が同108.1%の14億2000万ユーロ(約1405億8000万円)、ラロッシュポゼを展開するアクティブ コスメティックス部門は同106.2%の4億9760万ユーロ(約641億9040万円)、メイベリン ニューヨークを展開するコンシューマープロダクツ部門は同105.5%の29億2000万ユーロ(約3766億8000万円)と、3部門が好調に推移。一方、プロフェッショナルプロダクツ部門は、同99.6%の7億5260万ユーロ(約970億8500万円)、傘下のザ・ボディショップは同100. 8%の1億8190万ユーロ(約234億6510万円)と伸び悩んだ。地域別の売上高は、北米が同108.5%の13億7000万ユーロ(約1767億3000万円)、新興市場が同106.7%の22億3000万ユーロ(約2876億7000万円)、西欧が同101.9%の19億9000万ユーロ(約2567億1000万円)だった。