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欧州委員会、ファーフェッチによるリシュモン傘下EC企業の株式47.5%取得を承認 取引完了には別のハードルも?

「カルティエ(CARTIER)」「ヴァン クリーフ&アーペル(VAN CLEEF & ARPELS)」「クロエ(CHLOE)」などを擁するコンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT以下、リシュモン)は10月23日、傘下に持つラグジュアリーEC大手のユークス ネッタポルテ グループ(YOOX NET-A-PORTER GROUP以下、YNAP)の株式の47.5%を高級ECのファーフェッチ(FARFETCH)が取得することを、欧州委員会(European Commission)が承認したと発表した。

取引は2023年度中に完了の見込み。しかし、今回欧州委員会が承認したことでファーフェッチによる株式取得は可能となったものの、リシュモンによれば、取引の完了には「当社とファーフェッチの間で協議しているその他の要件」に関する合意が必要であり、詳細は追って発表するという。なお、取引の完了後、リシュモンはファーフェッチのクラスA株式を一定数受け取る予定だ。

YNAPは、リシュモンの子会社だったネッタポルテが15年にユークス グループと合併して誕生。リシュモンは株式の49%を保有していたが、18年に残りの株式を買い付けて完全子会社化した。高級ブランドECの「ユークス」「ネッタポルテ」「ミスターポーター(MR. PORTER)」などを運営している。

リシュモンのヨハン・ルパート(Johann Rupert)会長は、15年ごろから“ラグジュアリーブランド向けの中立的なECプラットフォーム”を築きたいと発言していた。この構想は、数年前にファーフェッチのジョゼ・ネヴェス(Jose Neves)会長兼最高経営責任者と親交を深めたことで前進。20年11月、リシュモン、ファーフェッチ、アリババ(ALIBABA)の3社はグローバルな戦略的パートナーシップ契約を締結した。22年1月には、YNAPとファーフェッチを合併させるべく「協議が進んでいる」ことを明らかにしていた。

リシュモンが22年8月に発表した今回の取引には、YNAPの株式の3.2%をドバイの投資会社シンフォニー・グローバル(SYMPHONY GLOBAL)に売却することも含まれている。これによりYNAPの過半数株式を保有する支配株主はいなくなるため、“中立的なECプラットフォーム”が実現することになるが、将来的に一定の条件の下でファーフェッチがリシュモンからYNAPの株式を全て取得できるオプションが契約に含まれている。

また、リシュモンとYNAPは、ファーフェッチの企業向けECプラットフォームであるファーフェッチ・プラットフォーム・ソリューション(Farfetch Platform Solutions以下、FPS)を導入する。これにより、リシュモンの傘下ブランドはファーフェッチの技術や知見を取り入れてオムニチャネル化を推進できるようになる。これに加えて、ファーフェッチのマーケットプレイスにも出店する。

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