日々、多くのビューティブランドに接している百貨店化粧品バイヤーや美容メディアの編集長らに、「ディオール(DIOR)」との取り組みや印象に残っているエピソード、なぜ売れているのかについて語ってもらった。さまざまな視点の証言から、「ディオール」の強さの理由が浮かび上がる。(この記事は「WWDJAPAN」2023年10月30日号付録「WWDBEAUTY」からの抜粋です)
バイヤー
三原薫子/松屋銀座本店 ショップMD部MD一課化粧品バイヤー
コロナ禍も守りに入らず
維持し続けた攻めの姿勢
日本人売り上げが2年連続化粧品フロアNo.1。土日には30〜40分待ちの列ができることもしばしば。時代のニーズをいち早く捉えた商品企画力、「ディオール」らしい持っているだけでテンションが上がるラグジュアリーなパッケージ、店頭でのサービス体験やエンターテインメント(アーティスト入店やスキンケアスペシャリストのお手入れサービスなど)といった付加価値の高さで支持されている。コロナ下でどのブランドも守りの体制に入る中、「ディオール」は来店するお客さまがどうすれば楽しめるか、満足していただける体験を提供できるか積極的に考え、オフラインが主戦場の百貨店と取り組み、お客さまとのコミュニケーションを止めなかった。2022年4月に行った“ディオール アディクト リップスティック”のメガイベントとして、コロナ下が少し明けたタイミングで久々に大規模メイクショーを開催。世界で活躍するトップアーティストによるメイクショーとモデルの近藤千尋さんを招いたトークショーにはたくさんのお客さまにご来場いただいた。常にお客さま視点で動き、特別なお客さまへのインケース(お手入れ)なども積極的に実施している。また、お客さまと一番近くで接する美容部員の教育や社内資格の取得などにも力を入れ、モチベーションアップに注力している点もサービス向上に寄与している。
温品龍/西武池袋本店 リーシング本部リーシング一部 コスメ担当
アーティストスタッフの来店を
心待ちにする多数のファン
2022年1月発売の“ニュールック エディション”は印象的。「いち早く購入したい」と、クリスマス明けから問い合わせが殺到した。発売日の元日は、早朝からたくさんのお客さまが並び、人気の高さを実感した。「ディオール」の商品は、ほかにはない色味やテクスチャーと、パッケージのデザイン力の高さから「気分が上がる」「ジャケ買い」などの反響につながっている。デパコスの王道でありながら、買いやすいプライスラインも魅力の一つで、特に若年層の男性・女性へのプレゼントニーズにも応えている。ラグジュアリーブランドとしての世界観に加えて、クチュールフレグランスライン“メゾン クリスチャン ディオール”やフェイシャル トリートメントを提供する「ディオール スキンケア ル サロン」の展開など、トータルブランドである点も強さの一つ。また、美容部員の親しみやすく的確な接客力、コスメを通してのソリューション提案力が非常に高いことも売れている大きな理由。イベントチームのアーティストスタッフには、来店を心待ちにしているファンが多数ついている。
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