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【スナップ】大阪・難波の無人古着店「ストッピー」に24時間密着! どんな人が来て何を買うの?

24時間営業の無人古着店「ストッピー」の来店・購入客

24時間営業の無人古着店には、どんな需要があり、どんな人が集まるのだろう?——ずっと気になっていた疑問だ。

そんな折、「古着屋ジャム」を東京・大阪などで14店舗運営するJAM TRADING(大阪、福嶋政憲社長、上古殿[じょうこでん]雄介社長)が、同業態の「ストッピー(STOPY)」を大阪・難波にオープンした。渡りに船とはこのことで、大阪へ。ストッピーの詳細については、コチラの記事をご覧いただくとして……。

いざ、24時間ウオッチング開始!

24時間営業の店に来たなら、24時間見なければジャーナリズムとは言えない!……と勝手に意気込み、3連休初日の11月3日(祝)の正午から定点観測を始めた。自ら(これまた勝手に)決めたルールは、1.日中は1時間ごと、日没後は2時間ごとに観測する 2.1時間来店がなければ、次の客が来るまで休んでよし、の2点だ。

11月3日(祝)

12:00PM ベビーカーの3人家族

“24時間営業の無人古着店の客”との初接触だ。声を掛けたのはベビーカーの3人家族。パパとママのニットを探しに来店したそうで、初訪問だと言う。どこでストッピーを知ったのか?と問うと、「TikTokを見て」と回答。「TikTok?」と福嶋社長に尋ねると、「“てぃーりく”さんというティックトッカーが紹介してくれて、そこから若年層の来店が一気に増えました」とのこと。

13:00PM 20代男性

赤いニットが目立った、黒縁眼鏡の20代男性。購入したのは、「チャンピオン(CHAMPION)」のスエット(2200円)。ただし“恥ずかしがり屋さん”のため、本人の撮影はNG……。

14:00PM 男子高校生2人

「2度目の来店」だという高校生2人。サムズアップの彼が、米国の港湾労働者向けワーク&ユニホームブランド「ポートオーソリティ(PORT AUTHORITY)」のナイロンジャケット(3300円)と、「チャンピオン」のスエットパーカ(2200円)をお買い上げ。

15:00PM 美男美女カップル

絵に描いたような美男美女。彼がシャツを探しているとのことで、チェック柄の商品をフィッティング。サイズ感もバッチリに見えたのだが、「アメ村を覗いて、また戻ってきます」と店をあとにした。

16:00PM 20歳女性

ハンチング帽の選択やグレー×ベージュの配色が古着ファッション好きを感じさせる彼女は、「ノーティカ(NAUTICA)」のVネックニット(1100円)と、米リーバイ・ストラウス傘下のブランド「ドッカーズ(DOCKERS)」のアーガイル柄ニット(2200円)を購入。

17:00PM 30代男性

クリーニングに出していた服を受け取りに来たという、金融業の男性。米軍のM-65ジャケット(3300円)と「リー(LEE)」のジーンズ(2200円)、「J.クルー(J.CREW)」のシャツ(2200円)の3点を会計。サーフィン焼けだという肌に、古着のニットと“501”、「ヴァンズ(VANS)」のスニーカーがよく似合っていたのだが、「カタい会社なので……」と本人撮影は辞退。

19:00PM 仲良し3人組

17時過ぎに日没となったので、ルール(日中は1時間ごと、日没後は2時間ごとに観測する)に即して、ここからは2時間ごとに。夜の部1発目は、スエットを軸にしたスタイリングや白を基調としたカラーリングで仲の良さを感じさせつつも、帽子や髪型、シューズでそれぞれが個性を主張する3人組。いずれも商品を購入しており、米国ブランド「ラッセルアスレティック(RUSSELL ATHLETIC)」のメード・イン・USAのスエット(2200円)、同じく米国ブランド「ロンドンフォグ(LONDONFOG)」のリップストップ地のアノラックパーカ(3300円)、ビッグサイズのダウンベスト(3300円)とセレクトも似ているようで、各自の嗜好が出ていた。

21:00PM 40代女性

難波が地元だというデザイン会社勤務の40代女性は、「パタゴニア(PATAGONIA)」のフリースジャケット(3300円)をチョイス。「バーバリー(BURBERRY)」のコートとスエットパンツの組み合わせがこなれていたのだが、「ノーメイクなので……」と本人の撮影はできず。

23:00PM ほろ酔いのカナダ人3人組

スマホからそこそこのボリュームで音楽をかけつつロング缶片手に現れた3人組は、カナダ・バンクーバーからの訪日客。近隣のホテルに宿泊しており、「昨日も来て買ったんだよ。めちゃくちゃ安いね!」とご機嫌。米国ブランド「スクリーンスターズ(SCREEN STARS)」のスエット(2200円)やスバルのパーカ(2200円、購入後すぐに着用)、「友人へのお土産にする」と長袖Tシャツ(2200円)を2日連続で購入していた。「明日も来るの?」と聞くと、「残念だけど明日は京都なんだ……。でも、24時間営業だから明け方にまた来るかもね(笑)」と夜の街に消えていった。

11月4日(土)

1:00AM 出勤前のバー店主

上古殿社長の行きつけ(!)だというバーのマスター。「ジョー(上古殿社長)が『来て』『来て』とうるさいから(笑)」と言いつつも、律儀さから(?)「コロンビア(COLUMBIA)」のパンツ(2200円)をお買い上げ。

3:00AM お仕事帰りの20代女性

飲食店勤務だという彼女は、仕事帰りに来店。この日はオールブラックの装いだったが、「かわいくないですか?」とカラフルな総柄ニット(2200円)を購入していった。

4:00AM〜8:00AM 来店客なし

ルール(1時間来店がなければ、次の客が来るまで休んでよし)に則り、ホテルにチェックイン。ベッドに横になる。とはいえ、「来店あり!」の連絡を受けてすぐに飛び出せるよう、スマホを胸に熟睡はできず……。

9:00AM 30代会社員

この日のファーストゲストは、近所に住むという30代の会社員。スーパーでの買い物帰りに来店し、ネルシャツ(2200円)を購入していた。聞けば、「ストッピーがオープンした日にも来店・購入し、その後も何回か利用させてもらっています」とのこと。

10:00AM 18歳男性

「こんなの探してて!」とナイロンジャケットを購入後、すぐに袖を通した彼は18歳。「これからアメ村、行きます」と元気に出ていった。

11:00AM 大学生カップル

24時間定点観測最後の取材対象者は、ストッピーの公式インスタグラムを見て来店したという20代の大学生カップル。彼は米国のアウトドアブランド「レッドヘッド(RED HEAD)」のフリースジャケット(3300円)を、彼女は「ポートオーソリティ」のナイロンジャケット(3300円)を選んだ。

24時間の定点観測を終えて

大阪・難波にオープンした24時間営業の無人古着店「ストッピー」

24時間営業で毎時13.7人の来店!

正直、24時間営業の無人古着店に、ここまでの集客力があるとは思わなかった。3連休であることやティックトッカーのアシストがあったにせよ、僕が滞在した24時間で329ゲスト。平均すると(深夜や早朝を含めても)毎時13.7人の来店だ。結果として、“客足の絶えない”感が強く残った。また、滞在時間も長い。これは有人店にあるスタッフからの声掛けがなく、つまりプレッシャーを感じず、時間も気にせず好きなだけ見られることが要因と思われる。とはいえ、となると、“接客って?……”と考えずにいられなくなる。奇しくも、「WWDJAPAN」最新号は「販売員特集」だ。

若年層の購買意欲の高さにたじろぐ……

もう1つ感じたのは、10〜20代の購買意欲の高さだ。取材した2日間は両日とも11月とは思えない25℃の夏日で、僕はTシャツ姿でも汗をかいていた。ストッピーでショーツを買おうと思ったが、さすがに販売しておらず、一方で来店した若年層はフリースや中綿入りの商品など、しっかりと冬物を買っていて、なんだか恥ずかしい気持ちになってしまった……。

“客は店が育てる”?

“古着店の客”と言ってもさまざまで、過去の「古着屋ジャム」の取材時に感じたのは“良家のご子息”感だった。擦れてなくて、僕ら40代のオールド古着ファンとは一線を画したクリーンさがある。ジャムの場合はスタッフが笑顔でコミュニケーションする、ストッピーの場合は店舗を清潔かつ快適に保つ。当たり前のことだが、それを徹底することで“店側のほしい客”が根付いている気がする。

24時間後に芽生えた意外な気持ち

24時間の定点観測を終えて湧き出てきたのは“眠い”や“疲れた”ではなく、“もっと取材したい!”だった。それほどに来店・購入客からもたらされる情報や印象はビビッドで、編集部や会議室では得られないものだった。この仕事を四半世紀近く続けているが、いまだに現場に立って初めて分かることは多い。特に日本の市場は極めて流動的だ。また街に出よう、次はショーツとダウンジャケットを持った万全の体制で……。

■ストッピー
オープン日:10月6日
時間:24時間営業
定休日:無休
住所:大阪府大阪市浪速区元町1-7-21 パークアレイ難波1階

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