毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2023年11月6日号からの抜粋です)
林:10年以上続く販売員特集ですが、コロナ禍後、平常運転になって初めてということで、久々に30人を取材しました。ビューティも含めて、できるだけいろんなジャンルを網羅しました。
遠藤:林さんに取材先の相談をしたら、美容家電はどうかと。コロナ禍で3万円のドライヤーや美顔器、シャワーヘッドなどが売れるようになったのですが、価格も含めていろんなメーカーの商品を吟味できるので、家電量販店で買う人が多いんです。ヨドバシカメラに問い合わせたところ、秋葉店の水頭恵理さんを紹介してもらいました。
林:池袋西武への出店で話題のヨドバシですね。どうでしたか?
遠藤:外国人も含めて、さまざまな人が訪れる店なのに、声掛けの成功率が9割とのことで驚きました!家電量販店の販売員は押しが強いイメージがあるのですが、困っている人には親身にアドバイスし、事前に調べてきている人にはプラスアルファの情報だけを伝えるなど、相手によって声掛けの仕方やタイミングを変えています。他店も含めてリサーチを細かく行う姿から、自店や商材が好きなことがすごく伝わりました。
林:いいですね。今回は他にもブラジャーのワコールや着物のやまと、子ども服のミキハウスと、多様なラインアップです。取材に同行した着物のやまとの販売員は新卒の女性。原宿店で自由なスタイリングを提案し、SNSも駆使して、若い層や外国人にアプローチしていました。ポーラの訪問販売員は76歳ですし、年齢的にも幅があって面白いと思います。
遠藤:以前と比べて変化を感じますか?
林:コロナ禍を経ることで、リアルの価値を再評価できたし、販売員のモチベーションも上がっています。SNSでのやり取りやECとの連携も自然に取れるようになっていて、OMO(オンラインとオフラインの融合)が浸透したと感じます。デジタルとリアルが補完し合って、相乗効果を生むために、販売の力が改めて問われています。
遠藤:ショップでかわいい服があるなと見ていたら、スタッフがiPadを持っていて、さっとルックを見せてくれたり、別の色は他店にあるからとECを見せてくれたり、リッチな接客を手軽に受けられるのは当たり前と思っていましたが、大きな進歩なのですね。
林:そう。でも、やっぱり接客の大切さは変わらないよね。