嗜好品がテーマの日常に紐づく香りが人気
好調だったのは、「ゲラン(GUERLAIN)」「ピーセブンチャコウスイ(P.SEVEN以下、ピーセブン)」「ジョー マローン ロンドン(JOE MALONE LONDON以下、ジョー マローン)」「リベルタパフューム(LIBERTA PERFUME)など。
初出展の「ピーセブン」は台湾発のお茶をベースにしたフレグランスで、“台湾茗香水”がよく売れた。中尾バイヤーは、「アジア圏の珍しい香水ブランドで台湾でしか販売しておらず、他にない香調で非常に人気が高かった」と話す。「リベルタパフューム」では“エスプレッソ”が好調。ラテを提供するなどユニークな体験が新客に響いた。「ジョー マローン」では、甘い香りの“ジンジャー ビスケット”、「ゲラン」では、“ラール エ ラ マティエール エクストレ”シリーズのウッディなタバコハニーの香りがよく動いた。「今年の香りのトレンドはグルマン(スイーツ)系、タバコ系、お茶系。『セルジュ・ルタンス(SERGE LUTENS)』の“エクランドゥフュメ”のようにお酒系も見られる」。お茶、コーヒー、スイーツ、タバコ、お酒と、嗜好品をテーマにした日常に紐づく香りが人気のようだ。
年々高まるニッチフレグランスの需要
今年は、新たな試みとして仏パリのアンヌ・ソフィー・ベハーゲルとアメリー・ブルジョワによるクリエイションスタジオ「フレア(FLAIR)」や京都のフレグランス専門店「ルシヤージュ(LE SILLAGE)」といったニッチフレグランスの集積コーナーを設置。「フレア」では、ベハーゲルとブルジョワが調香した10ブランドのフレグランスを紹介するなど、独自の編集で香水マニアにアピールした。「ルシアージュ」ではカウンセリングを行うなどパーソナライズなサービスを提供。いずれも終日、混雑が見られるなど反響が高かったと言う。「自分が知らない香りに出合える、自分に合う香水について、より深く知ることができるという声が多かった。ニッチフレグランスの需要は年々伸びている」。
香水好きとこだわりたい若年層の2極化
今年は、売れ筋トップ20のうち、ディスカバリーセットが11点を占めた。昨年が7点というから、より、ディスカバリーセットの需要が高まっている。ディスカバリーセットが売れたブランドは、「シロ(SHIRO)」「ブーディカ ザ ヴィクトリアス(BOADICEA THE VICTORIOUS」「メゾン クリヴェリ(MAISON CRIVELLI)」「ヴェルサティル パリ(VERSATILE PARIS)」「クリード(CREED)」「セルジュ・ルタンス」「ピーセブン」。香りに対する関心はあるが、30mLや50mLのボトルはなかなか使い切らないという層や、自分にある香りを慎重に選びたいという消費者が気軽に試せる商品として支持されている。「ディスカバリーセットや調香体験など気軽に試せる1万円前後の商材、または、気になっていた香りを複数購入(5万〜10万円)されるお客さまと2極化している」と中尾バイヤー。「サロパ」限定品や先行発売品を目掛けて来場する香水好き消費者と、近年増えている「誰も着けていない香りが欲しい」という若年層両方に応える品ぞろえで、売り上げを伸ばしているようだ。
今年初の試みとして、「サロパ」に出展するブランドやおすすめを紹介するムック本付きフレグランスミニセット(5555円)を販売したところ完売した。「X中心に本の内容や香りに対する感想など反響が見られた」。“日本に香りの文化を提唱する”のが「サロパ」のコンセプト。三越伊勢丹では、香水のコミュニティサイト「パルファン(PARFUN)」を立ち上げ、香りが好きな人が集まる場を提供。座談会などさまざまな企画を用意している。