アトモスの創業者・本明秀文さんの独自の目線と経験から、商売のヒントを探る連載。“物言う株主”として知られる米投資会社エンゲージド・キャピタルがVFコーポレーション(以下、VFC)の株式を取得し、傘下ブランドの戦略的見直しを要求したという。資本主義の世界において、企業は成長し続けることが絶対的な使命といえる。だけど、ファッションブランドの場合、売り上げ拡大を優先すれば、それに反比例するように価値を毀損しかねない。今回は、株式の世界と投資家の話。(この記事は「WWDJAPAN」2023年11月6日号からの抜粋です)
――VFCの株主になったエンゲージド・キャピタルが、20年11月に21億ドル(約3129億円)で「シュプリーム(SUPREME)」を買収したことに対して、「リスクマネジメントが崩壊としたとしか思えない案件」と苦言を呈しています。
本明秀文・アトモス創業者(以下、本明):エンゲージド・キャピタルのように、保有株式を裏づけに投資先の企業に対して積極的に提言する投資家のことをアクティビストという。日本だと村上ファンドとかがそう。実績がある株主がこういった発言をすると、テコ入れに期待して株価が上がることがあるんだけど、今回もこの件が報じられた10月17日に、前日終値比14.0%高を付けている。これで売り抜けちゃう場合もあるし、エンゲージド・キャピタルとしては、まずは成功といったところだろうね。オーナーや創業一族なら、ある程度株主の意見に反論もできるんだろうけど。
――オーナーが筆頭株主じゃなくてもですか?
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