ファッション

注目エリア奥多摩で“マイクロツーリズム” 日帰りで紅葉狩りやアウトドアを満喫【進化する幸せ産業】

関東各地にも紅葉の季節がやってきた。栃木県の日光はすでに見ごろらしい。青森県奥入瀬では14キロの渓流が次々と色づき、11月半ばには絶景に。11月末ごろまで標高によってスポットが変化しつつ、絶景を楽しめるのだとか。紅葉は緯度だけでなく、標高も影響しているので、桜の満開日を追いかけるのと同じくらい見ごろをとらえるのは難題だ。ならば、自宅から1、2時間の近場を観光する旅“マイクロツーリズム”のスタイルで、日帰りでも気軽に行ける都内で紅葉ハンティングするのはどうだろう? 

新宿駅から中央線で乗り換え1回
駅前に渓谷がある奥多摩へ

究極のマイクロツーリズムが都内での“小さな冒険”だ。キャンプやアウトドア好きの間ではコロナ禍以降、奥多摩への旅が注目されてきた。JR中央線ならば、立川駅で乗り換えて青梅線の終着駅だ。奥多摩駅は目の前が渓谷という立地で、東京都とは思えないほど自然に恵まれている。夏は川遊びやキャニオニングなどのアクティビティーでにぎわったが、秋は紅葉を眺めながらのSUP(スタンドアップパドルボード)も人気だという。

“小さな冒険”の拠点は奥多摩駅だ。木造のレトロな駅舎の2階には、フードコートやショップがある商業施設「ポート奥多摩」がある。奥多摩で醸造されているクラフトビールや焙煎所などの店舗もあり、奥多摩グルメを気軽に試せるのもうれしい。この地域らしく、アウトドアウエアやギアも多く並ぶリサイクルショップも運営していて、夜はライブハウスにもなり、地元の人々も登山客などのビジターも集う情報交換の場となっている。すぐ隣は、登山ルートの案内もしてくれるビジターセンターだ。

自転車を駅前でレンタル
効率よく名所を巡りながら紅葉狩り

駅から徒歩1分のサイクリングツアー&レンタル「トレックリング(TREKKLING)」(東京都西多摩郡奥多摩町氷川197)もさまざまなツアーを企画している。例えば“奥多摩むかし道”ツアーでは、江戸時代に交易路として使われていた渓流沿いをサイクリングする、奥多摩の自然や歴史を体感できるツアーだ。時にはニホンカモシカやニホンザルに遭遇することもあるという。その他、秋が収穫シーズンでもある、奥多摩のわさび畑を訪ね、この地でわさび農家となったディビッドさんの話を聞きに行くツアーなどもある。ユニークなのは、ネイティブスピーカーによる英語でのサイクリングツアー。インカム付きのヘルメットで、自転車に乗りながら会話ができる仕組みだ。いずれもE-バイクやインカム内臓ヘルメットのレンタル料、保険、ガイド料込みで約3.5時間9300円(平日8300円)~など。現地集合、現地解散の日帰りツアーなので気軽に参加できる。

本格的なスポーツバイクをレンタルして、自由にサイクリングを楽しむのもいい。20キロほど離れたふもとの数カ所で乗り捨てられるので、巨大なすべり台のごとく、最も標高が高い奥多摩駅から渓流沿いを一気に滑走できるのだ。これが爽快!白丸ダムや御岳山の登山口、鳩ノ巣渓谷など、奥多摩エリアの見どころを効率よく巡れる。走りながら、その時期の紅葉スポット見つけ出すのも楽しい。これぞ紅葉狩りだ。

指定の返却スポットには「澤乃井」でおなじみの小澤酒造もあり、ゴールで渓流を眺めながら、直営店の澤乃井園で利き酒、なんて粋なことも可能。ちなみに私は河辺駅の自転車ショップに返却した後、駅前のスーパー温泉ですっきり汗を流し、湯上りのビールを満喫して帰った。車ではこうはいかない。

カフェやイベント会場もオープン
古民家に宿泊して満喫するもよし

奥多摩エリアにはスタイリッシュなカフェや宿泊施設も続々とオープンしている。「あさぎやみたけ」(東京都青梅市御岳1-105-1)は、週末のみ営業する古民家カフェ。1日1組限定で、築100年の敷地内の蔵に宿泊もできる(4人まで宿泊可能/1人2万5000円~)。御嶽駅からすぐで、アクセスも良く、登山帰りにもいい。グランピング施設なども増え、キャンプ以外に宿泊の選択肢が増えたのも、奥多摩エリアが今人気の理由だろう。2024年3月からは、「鳩ノ巣」駅近隣に沿線丸ごとホテルが順次開業。瀬戸内海の移動式ホテル「ガンツウ(guntû)」を設計した、堀部安嗣建築設計事務所による宿泊施設「サトログ 青梅(Satologue Ome)」など、ユニークな施設が誕生する。

また、御嶽駅にはイベント会場「Aフロー(A-FLOW)」(東京都青梅市御岳本町338-2)もある。古民家を改築した30人以上も集まれるステージや、屋上にはBBQ会場「Bヤード(B-YARD)」、15~20人が宿泊できる施設も併設し、みんなでたき火を囲んだり、静かに渓谷を眺めたりと、さまざまな時間を過ごすことができる。貸し切りも可能だが、イベント利用していないときは3時間3000円で滞在できるので、コワーキングスペースとして活用する人も多いのだとか。作業もさくさく進みそうだ。

日本一クールな清掃員による
クリーンなトイレの安心感

奥多摩でのアウトドアが多くの層に支持されるのは、他にも理由がある。それは“オクタマ・ピカピカ・トイレ”の略である“OPT”という清掃チームによって清潔にキープされた公衆トイレの存在だ。モップを使わず全て手作業で磨き上げ、駅前の公衆トイレはもちろん、駅前や森林に点在するトイレ約40カ所を定期的に回り、常にクリーンに保っている。山でのトイレにストレスを感じるアウトドア初心者は多いと思うが、奥多摩では安心して駆け込める。そんな清掃スタッフは、奥多摩ではヒーロー的存在。クリーンキーパーと呼ばれ、ポップなユニホームを着て、時には子どもたちの前でダンスパフォーマンスをすることも。チーム一丸となって、日本で一番きれいな公衆トイレのある街を目指す。

都心から近い、駅から近いというアクセスの良さに加えて、さまざまなユニークな施設のオープンラッシュや、クリーンな公共施設の存在。奥多摩でのアウトドア体験は、つらい、苦しい、汚いといったアウトドアのネガティブなイメージを一新し、誰にとっても気軽に楽しめるアクティビティーとなった。風が心地いいこの季節は、絶景を拝めるチャンス。山道をトレッキングで、渓流沿いをサイクリングで、そして水上をSUPで、旬の紅葉を探しに——そうだ、奥多摩に行こう。

関連タグの最新記事

ファッションの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

27メディアが登場、これが私たち自慢の“ナンバーワン”【WWDJAPAN BEAUTY付録:化粧品専門店サバイバル最前線】

11月25日発売号は、毎年恒例のメディア特集です。今年のテーマは "ナンバーワン"。出版社や新興メディアは昨今、ウェブサイトやSNSでスピーディーな情報発信をしたり、フェスやアワードなどのイベントを実施したり、自社クリエイティブやIPを用いてソリューション事業を行ったりなど、事業を多角化しています。そのような状況だからこそ、「この分野ならナンバーワン!」と言えるような核を持てているかが重要です。

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。