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「ブルガリ」CEOが語る“セルペンティ”の比類ない魅力 「2000年の歴史を感じさせるアイコン」

PROFILE: ジャン・クリストフ・ババン / ブルガリ グループ最高経営責任者

ジャン・クリストフ・ババン / ブルガリ グループ最高経営責任者
PROFILE: 1959年フランス生まれ。仏ビジネススクールHECでMBAを取得後、仏海軍で兵役に服す。兵役後、プロクター・アンド・ギャンブルで一般消費財のセールスやマーケティング分野で活躍。ボストン コンサルティング グループやヘンケルを経て、2000年にタグ・ホイヤーのCEOに就任。13年から現職 PHOTO:TSUKASA NAKAGAWA

伊ローマ発ジュエラー「ブルガリ(BVLGARI)」のアイコンである“セルペンティ”が誕生75周年を迎えた。アニバーサリーを記念し、東京・原宿で11月26日まで、「ブルガリ セルペンティ 75周年 時を超えて紡がれる無限のストーリー展」が開催中だ。“セルペンティ”75周年は、ビジネスにも好影響を与えている。「WWDJAPAN」8月28日号付録の「ビジネスリポート」でも、多くの百貨店から好調という声があった。来日したブルガリ グループのジャン・クリストフ・ババン(Jean Christophe Babin)最高経営責任者(CEO)に話を聞いた。

WWD:今回の来日の目的は?

ジャン・クリストフ・ババン=ブルガリ グループCEO(以下、ババン):日本は重要な市場なので、定期的に来日する。建築家の安藤忠雄とのコラボレーションのウオッチは大成功するなど、日本はインスピレーションを得る国でもある。今回は、“セルペンティ”75周年イベントが目的だ。人類の歴史において、ユニバーサルなシンボルであるヘビをモチーフにした”セルペンティ“とアートを融合した展示を行う。

WWD:東京の展覧会の見どころは?

ババン:“セルペンティ”のレトロスペクティブとも言える展示だ。“セルペンティ”のシークレットウオッチ(ブレスレットにウオッチが内蔵されているもの)が誕生したのは1950年代で、ラグジュアリーのアイコン的な存在だった。アニバーサリーを祝う展覧会は、上海、ソウル、ドバイ、ミラノと巡回して日本に上陸した。各都市で、モチーフであるヘビからインスピレーションを得たアートを紹介してきた。東京では、日本の枯山水とハイテクの融合による展示をはじめ、ヘビの変容性を表現したインスタレーションなどを行う。ヘビは、人類の歴史の中で誘惑や権力の象徴で魅了されるモチーフだ。

「“セルペンティ”を通して歴史を販売している」

WWD:“セルペンティ”をジュエリーやウオッチだけでなく、レザーグッズやアクセサリーとして発展させたのは?

ババン:もともとは、シークレットウオッチとして登場したが、通常のウオッチとして約10年前に登場して、ベストセラーになった。ハイジュエリーのモチーフとしても使用するようになり、約3年前に幾何学的にヘビを表現した“セルペンティ ヴァイパー”が登場。そして、世界的に在庫不足になるほど大成功した。“セルペンティ”は米国と日本において、時計、ジュエリーにおいてナンバーワンのラインで、世界的なアイコンになった。クレオパトラがジュエリーとして着用して以来ヘビのモチーフは、何世紀にもわたって人類を魅了してきた。だから、ジュエリーやウオッチ以外のカテゴリーでも成立する。“セルペンティ”はマーケティングの一環ではない。われわれは、それを通して2000年もの歴史を販売しているのだ。“セルペンティ”のバッグはシックでユニーク。ジュエリーのようにカラフルで、エキゾチックレザーを使用しているのも特徴だ。“ヘビ”をかたどったクロージャーやチェーンは、正にジュエリーのような仕上がり。ハイジュエリー部門では、貴金属や宝石を使用したバッグもある。その価格は数千万円になることも。「ブルガリ」は、宝石やバッグ、香水、チョコレートなど最も高価な商品を提案するブランドだ。

WWD:取引先や消費者にどのように“セルペンティ”の75周年について伝えたか?

ババン:世界各地で歴史やコンテンポラリーアートをミックスしたアニバーサリーのイベントを開催してきた。それが世界的に話題になっている。芸術的な視点から見た“セルペンティ”は常に注目の的だ。日本では、森星を起用したメディア戦略が奏功している。世界的に、スーパースターと呼ばれる人たちをキャンペーンに起用しているが、星を起用することで、若い人々に“セルペンティ”の魅力が伝わっている。取引先では、ポップアップショップの開催をはじめ、広いスペースを確保し、特別なウインドーディスプレーなどにより訴求を図った。商品では、イエローゴールドを使用した新作ウオッチやジュエリーがヒット。“セルペンティ ヴァイパー”のジュエリーに関しては、ダイヤモンドが入っていないタイプのものがステートメントジュエリーとして男性に受けている。

ホテルはイタリアのライフスタイルを伝える“大使”

WWD:コロナ後の商況は?

ババン:21年はコロナ禍からの反動で、自分へのリベンジ購入が多く見られたが22年は、戦争やインフレなどの影響により減少した。今年は成長を見込んでいる。先が見えない状況下で顧客は既に知っていて安心感のあるアイコン“セルペンティ”を選ぶ傾向にある。だから、ブランドのDNAに忠実にアイコンにフォーカスしていく。

WWD:今後の日本戦略は?

ババン:表参道やギンザ シックスに新店舗をオープンしたし、来年には麻布台ヒルズの出店も控えている。また、2〜3年前に始めたブティックの改装を進めていくつもりだ。「ブルガリ」はヨーロッパのエレガンスを象徴する代表的なブランド。だが、日本では、星をブランドの顔として、若くアクティブな層にアピールしていく。芸能、文化、政治などさまざまな分野で活躍する女性をたたえる「ブルガリ アウローラ アワード(BVLGARI AVRORA AWARD)」も開催し、日本の才能あるアーティストたちと協業する。また、今年「ブルガリ ホテル 東京(BVLGARI HOTEL TOKYO以下、ブルガリホテル)」がオープンした。ブティックでの体験は限りがあるが、ホテルでは24時間“ブルガリ ワールド”を体感してもらえるはずだ。スパやバー、レストラン、スイーツなどあらゆる面においてラグジュアリーな“ローマ”を東京に運んできた。「ブルガリ ホテル」は、イタリアのライフスタイルを伝える“大使”のような存在だ。日本にいながら、イタリアにいるようなラグジュアリー体験ができる場所だ。

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