英国大手酒造ディアジオの子会社ディアジオジャパンは、スコッチウイスキーの最上級レーベル「ジョニーウォーカー ブルーラベル(JONNIE WALKER BLUE LABEL)」から限定商品“ジョニーウォーカー ブルーラベル ウマミ”(750mL、4万300円)をグローバル発売する。パリで人気フレンチレストランを経営する日本人シェフ、小林圭氏とコラボして開発した。日本国内では11月21日から、700本を限定販売する。
スコットランド・プリンセスストリート、フランス・パリ、米国・ニューヨークなど、ディアジオが現地法人を構える各エリアで“ウマミ”のローンチイベントを開催した。日本を含むアジア太平洋地域については、シンガポールが会場となった。イベントはメディア関係者やインフルエンサーを招待し、十数人が参加するセッションを複数回に分けて実施。「ジョニーウォーカー」の7代目マスターブレンダー、エマ・ウォーカー氏と小林シェフが登壇し、“ウマミ”のこだわりについて両者のプレゼンテーションを聞きながら試飲を行った。
「2万5000樽に1樽」の希少酒
ディアジオ社が保有するウイスキー樽のうち、通常の“ブルーレーベル”(750mL、2万3100円)でさえ、わずか「1万樽に1樽」の割合でしか作ることができない。だが“ウマミ”はさらに「2万5000樽に1樽」の割合まで選び抜き、理想の味わいとアロマを追求した。口に含むと、ブラッドオレンジや赤いベリーの中に、燻製肉や塩・胡椒などのフレーバーが感じられる。この繊細で奥深い味わいこそが、両氏の考えるウイスキーの「旨味」だ。“ウマミ”との理想的なペアリングを考えた小林シェフ監修の料理も振る舞われた。
エマ・ウォーカー氏は「旨味とは何かを理解し凝縮するために、幾度となくウイスキーを口にし、ノージング(香りをかぐこと)した。塩辛い風味のものから、香ばしい肉のような風味のものまで、さまざまなウイスキーを食材のように厳選し、ようやくたどり着いた」と振り返る。一方、「ウイスキーブランドと仕事をすることは想像もしていなかった」と小林シェフ。「私にとってウイスキーの“おいしさ”を設計することは全く新しい経験だった。フレーバーという共通の言語で(料理とウイスキーという)異なる2つの世界をつなぎ、“ウマミ”を完成させることができた」と語った。
透けて見える
ジャパニーズウイスキー人気の影響
世界的なスコッチウイスキーブランドの「ジョニーウォーカー」が今回、日本古来の味覚である“旨味”に焦点を当て、最高峰の一本として大々的に打ち出したことは示唆深い。ボトルには日本語で“うま味”の文字が踊る。
ここには、近年人気が高騰するジャパニーズウイスキーの影響があるのだろう。良質な水源から作られる繊細な味わいの日本のウイスキーは、世界的なクラフトウイスキーブームの流れに乗り、2015年前後から爆発的にファンを増やしてきた。各国から富裕層が集まるシンガポールでもジャパニーズウイスキーの愛好家は多いようで、日本のウイスキー銘柄の広告ポスターを大々的にアピールするレストランやバーも散見された。
日本の旨味を深く理解し、落とし込んだ“ウマミ”の見事な味わい。その背景には、世界的ウイスキーブランドの「ジョニーウォーカー」さえ意識せざるを得ない、ジャパニーズウイスキーの存在がある。そのモノ作りやブランディングは、ファッションやビューティをはじめとした他業界にとっても、世界に通用するブランドを作るヒントになりそうだ。