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連載 齊藤孝浩の業界のミカタ

ファーストリテイリングはいつ売上高10兆円を達成できるか 【齊藤孝浩のファッション業界のミカタvol.55】

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企業が期ごとに発表する決算書には、その企業を知る上で重要な数字やメッセージが記されている。企業分析を続けるプロは、どこに目を付け、そこから何を読み取るのか。この連載では「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」「アパレルゲームチェンジャー」の著者でもある齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、企業の決算書やリポートなどを読む際にどこに注目し、どう解釈するかを明かしていく。今回は過去最高の業績をマークしたファーストリテイリングの最新決算の注目ポイントを解説する。

今回はファーストリテイリング(FR)の2023年8月期の決算の注目ポイントを紹介します。多くのメディアですでに取り上げられている通り、連結売上収益は2兆7665億円と過去最高、営業利益も過去最高を更新。そして営業利益率も13.8%で、過去10年間で最高ポイントと素晴らしい業績です。

今回の決算での注目ポイントは、これまでの決算では明かされていなかった2つの話題です。1つは、将来的な連結売上高目標です。FRは今期(24年8月期)で年商が3兆円になる見込みです。そこで、柳井正会長兼社長が「世界のグローバル旗艦店の拡大で5兆円への道筋は見えている。これを2倍にすればいいだけだから10兆円も難しくはないと思っている」とおっしゃり、「10兆円を超える」ビジョンを語りました。

もう1つはそれに向けて、地域別の売上高と営業利益実績を初めて具体的に開示したんです。決算サマリーの中の海外ユニクロ事業のところで、各地域の売り上げ規模と収益性が明示されました。  今後の成長目標と地域別の収益の開示で、未来について示したことが今回の決算の大きなポイントです。

海外事業が黒字化して以来のユニクロ事業(国内・海外)の売上高・営業利益の推移

では、果たしていつ売上高が5兆円、10兆円になるのか。ちょっとシミュレーションしてみました。事業によって仮定する伸び率が違います。まず、国内ユニクロ事業は、横ばい。海外ユニクロ事業は、直近が15%増予測なので、15%増で成長し続けると仮定します。「ジーユー」が核となるその他の事業も15%成長と仮定します。そうすると、だいたい連結で毎年10%強の伸び率になります。

この先、そのペースで伸び続ければ、29年8月期に5兆2550億円になります。6年後ですね。10兆円になるのは35年。12年後です。柳井会長は86歳になります。  ちなみにこの仮定通りに成長すれば2年後にはH&Mを抜くでしょう。「ザラ」を擁するインディテックスはこれまで通り今後も10%成長を続ける可能性が高いので、しばらくは抜けないと考えます。

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