ワコールホールディングス(HD)は、中期経営計画を見直した。最終年度を当初の2025年3月期から26年3月期に変更した上で、売上高を2030億円(当初は2200億円)に、営業利益を130億円(同165億円)にそれぞれ修正した。ワコールHDでは、下着業界をはじめとする外部環境の変化に対応できず、収益性が悪化。長期にわたる業績の低迷が続いている。11月には24年3月期連結業績予想を下方修正。米ワコールによるインティメーツ・オンラインのライブリー事業の撤退、主力子会社のワコールで希望退職者を募ると発表した。
11月20日に行われた会見で矢島昌明ワコールHD社長は、「サプライチェーンやコストの見直しをはじめ、抜本的な改革を行う」とコメント。ワコールHDでは、顧客ニーズや市場環境の変化に迅速に対応できるように、リードタイムの短縮を図る。また、店頭の売れ行きに合わせた生産を行うことで過剰在庫を抑制。収益力の回復を図るために、ブランドの集約やラインの統廃合、赤字店舗の撤退などによりコスト削減を図る。
川西啓介ワコール社長は、「顧客のニーズはわれわれが提供してきた“美しく見せる”下着から“楽で快適”な下着へ変化した。ショッピングの方法も変わり、顧客起点で変化できていなかった。顧客、市場に合わせて変化する柔軟性が必要」とコメント。また、「ユニクロ(UNIQLO)」などの“ブラトップ”に代表される手に取りやすい“アフォーダブル”な価格帯が主流だ。国内ワコールでは、基幹ブランドである「ワコール(WACOAL)」をリブランディングするほか、若年層やアフォーダブル層の訴求を図る。また、“美・快適・健康”キーワードのインナーウエア以外の3D計測やデータを活用したサービスやコンディショニングウエア「シーダブリューエックス(CW-X)」などを強化。「市場全体が縮小しており、顧客のニーズも多様化している。それを反映しながら、共感してもらえる価値のある商品開発をする。次世代の顧客を育てるためにも、アフォーダブル商材も含めて導入する」。