ファッション

「シーイン」が米国でIPO申請、2024年に上場か アナリストらの評価は?

グローバルSPAブランド「シーイン(SHEIN)」が、米国証券取引委員会(Securities and Exchange Commission)に非公開でIPO(新規上場)の申請をしたと複数の海外メディアが報じた。情報筋によれば、2024年に上場する可能性があり、米投資銀行のゴールドマン サックス(GOLDMAN SACHS)、JPモルガン(J.P. MORGAN)、モルガン・スタンレー(MORGAN STANLEY)が主幹事に起用されたという。「シーイン」および3行からのコメントは得られなかった。

「シーイン」は5月に新たな資金調達を行なっており、企業価値はおよそ660億ドル(約9兆8340億円)と推定されている。米コンサルティング会社カーニー(KEARNEY)のブライアン・エーリグ(Brian Ehrig)=コンサルタントは、「『シーイン』の企業価値はOpenAIなどのテック企業と並ぶ。ファッション業界で、これほどエキサイティングなIPOは久しくなかった」とコメント。また、このまま成長すれば、「シーイン」の売り上げは25年までに「H&M」と「ザラ(ZARA)」の合計を超えるのではないかと予想した。

小売業界を専門とする米コンサルティング会社ジェーン・ハリ&アソシエイツ(JANE HALI & ASSOCIATES)のジェシカ・ラミレズ(Jessica Ramirez)=シニア・リサーチ・アナリストは、「『シーイン』の新商品を投入するペースの速さには目を見張るものがあるが、“一回着用して捨てる”という、『H&M』や『ザラ』が離れようと努めている以前の消費方式を復活させてしまった」と述べた。

「シーイン」は、豊富な商品ラインアップを圧倒的な低価格で販売し若年層を中心に人気を集める一方で、著作権侵害などによる訴訟トラブルをいくつも抱え、サプライチェーンにおける劣悪な労働環境への懸念が絶えない。こうした点から米国での上場を危ぶむ声もあるが、上場に伴う規制準拠や投資家からの圧力によって「シーイン」が変化する可能性もあるだろう。

同社は8月、米ブランド管理会社オーセンティック・ブランズ・グループ(AUTHENTIC BRANDS GROUP以下、ABG)の傘下ブランド「フォーエバー21(FOREVER 21)」を米国で運営するスパーク・グループ(SPARC GROUP以下、スパーク)の株式のおよそ3分の1を取得。その際、スパークも「シーイン」の少数株主となっている。10月にはABGと提携し、「フォーエバー21」のライフスタイルおよびファッションカテゴリーにおいて長期的なパートナーシップ契約を締結した。また、同じく10月に、英ファストファッションブランド「ミスガイデッド(MISSGUIDED)」を、英小売フレーザーズ・グループ(FRASERS GROUP)から買収している。

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