三井不動産は12月8日、複数ショップのアイテムを一カ所で試すことができるショールーミングストア「ららぽーとクローゼット(LaLaport CLOSET)」2号店をららぽーと海老名にオープンする。売り場面積は、昨年3月にららぽーとTOKYO-BAYに開店した1号店の4割程度になる約132㎡。ショールーミングストアとしての機能はそのままに、3D骨格診断などのサービスを充実させ、同館のテナントや自社ECモール「アンドモール(Mitsui Shopping Park &mall)」への送客を狙う。
「個室でパーソナルカラー診断」も 最先端のデジタル融合売り場に
小型店舗の2号店では体験型コンテンツに焦点を当てた。誰でも気軽にセルフサービスでファッションタイプ診断などを受けられるAIカメラ搭載のタッチパネル式ミラー「+プラスミラー ららぽーとクローゼット(+PLUS MIRROR LaLaport CLOSET)」を2台設置。カラー診断士によるパーソナルカラー診断や、最新の3Dボディスキャナーで全身を測定して似合う洋服を見つける骨格診断サービス(事前予約制)も行なう。プロのスタイリストによるパーソナルスタイリングイベントも月替わりで実施する。
最新DX店舗は1号店の試行錯誤を生かし「体験型」を打ち出す
「体験」に特化した背景には1号店の試行錯誤が生かされている。ららぽーとTOKYO-BAYでは子育て中のママ世代にターゲットを絞り、事前に気になる商品を選択したうえでファミリー客がゆったり試着を楽しめる「試着予約」のサービスに特化していたが、利用が伸びず苦戦。そこで体験型のサービスに変更したところ、予約申し込みが15倍に急伸した。
「どんな服を着たらいいかわからない」という悩みに応える
元ナノ・ユニバースでECの成長を牽引し、21年10月から三井不動産に転じていた越智将平 商業施設本部 商業施設運営一部イノベーション推進グループ技術統括は「『どんな洋服を着たらよいかわからない』というファッションへの苦手意識を持つ顧客が想定以上に多く、試着予約まで至らなかった。そこで、自分に似合う洋服がわかる体験型の診断コンテンツに刷新したところ、大きな成果につながった」と振り返る。同店における診断体験利用者の購入率は全体の7割に、体験後の客単価は平均来館客単価の2倍となる2万1000円に伸長した。今年4月には自社アプリの「三井ショッピングパークアプリ」もリニューアルし、こちらも体験型ツールを強化。「アンドモール」への顧客流入数が2倍に増え、アプリ経由の売り上げが20%増加した実績がある。
2号店に海老名を選んだ理由として越智氏は「ファッションに迷いを持つ顧客が多く、一方で施設にはファッション感度が高いテナントが多いため適していた。郊外型物件での需要の高さを想定し、海老名店での実験結果を踏まえ同規模での全国展開を広げたい」とコメント。同店では「ナチュラルビューティーベーシック(NATURAL BEAUTY BASIC)」「ナノ・ユニバース(NANO UNIVERSE)」「ノーリーズ(NOLLEY’S)」など、ららぽーと海老名に入居していないテナントのオフィス系ブランドも実験的に並べ、顧客動向を検証する。