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コーセー「雪肌精」薬用化粧水が大刷新 “厳しい”中価格帯の美白化粧品市場に本腰

コーセーのスキンケアブランド「雪肌精(SEKKISEI)」は、ロングセラー化粧水“薬用 雪肌精”を初めて刷新する。甘草研究のリーディングカンパニーである丸善製薬と共同研究を行い、新たに「美白(メラニンの生成を抑えてしみ、そばかすを防ぐ)」効能の承認を得た甘草由来有効成分(W-グリチルレチン酸ステアリル)を配合した“薬用雪肌精 ブライトニング エッセンス ローション”【医薬部外品】(200mL、3850円/350mL、5940円※編集部調べ)を2024年3月1日に発売する。小林一俊コーセー社長は「新成分は“雪肌精”化粧水の歴史を変えるだろう。100年続くロングセラーへと育成する」と意気込み、同社を代表するジェンダーレスブランドとしてグローバル展開にも力を注ぐ。

「雪肌精」は、コーセー創業者の小林孝三郎氏の長男で、小林一俊社長の父である小林禮次郎氏が1985年に開発。小林禮次郎氏は、早稲田大学理工学部応用化学科を卒業後、大卒理科系社員第一号として、同社に入社した。81年に2代目社長就任後も「効能効果の高い商品開発に心血を注いできた」と、普遍的な価値を持つ“単品訴求型”の商品を提案し続けてきた。当時は「透明感のある美しい肌の女性を増やしたい」という思いから、「白い肌」を想像させる「白肌精(せっきせい)」をブランド名に掲げる予定だったが、薬機法の関係で現在の“雪”をつけた「雪肌精」が誕生した。

新垣結衣、羽生結弦、大谷翔平
を起用し
「雪肌精」ブランドをアプローチ

ブランド誕生後は、大々的な宣伝は打たず口コミで人気を集めていたが、2012年に転機を迎える。「『雪肌精』はコーセーの顔になる大切なブランド。大胆なマーケティング活動を積極的に行うべきだ」と小林一俊社長が旗を振り、顧客の高齢化に歯止めをかけるべく当時20代だった俳優の新垣結衣をブランドミューズに起用。若年層の獲得に踏み切った。その後、19年に羽生結弦選手をアンバサダーに起用、23年には大谷翔平選手を起用したプロモーションを実施するなどジェンダーレスに訴求し、幅広い世代から支持を集める。誕生時から累計販売個数6700万本(1985年5月~2023年11月末時点)を突破し、同社の化粧水の中で売り上げNo.1(22年9月〜23年10月の販売個数ベース/インテージSRI調べ)を誇る。

現在の中心客層は30〜40代で、ブランド全体で男性客が占める割合は8%だ。「以前から男性のお客さまからの支持も厚い。新“薬用雪肌精もジェンダーレスにアプローチしながら、既存のお客さまはもちろんのこと、離反したお客さまにも自信を持ってお届けしたい」と意気込む。

中価格帯市場で再攻勢をかける

国内の化粧品は低価格帯と高価格帯の2極化が進み、中価格帯は「厳しい状況」が続いているという。一方で、「競合他社を見ると、3000〜5000円の価格帯で分かりやすい有効成分を使った商品が登場し、支持されている。われわれとしてもそこに手を打ちたいと考えた。ドラッグストアでニーズのあるゾーンに『雪肌精』で攻めていく」(小林社長)と話す。

新“薬用雪肌精”はロゴを初刷新

新“薬用雪肌精 ブライトニング エッセンス ローション”は、既存の肌荒れ防止に加え、新たに美白効能の承認を得た甘草由来有効成分(W-グリチルレチン酸ステアリル)を配合した。既存のみずみずしく浸透感のある使い心地を継承し、W効能で“シミ予防”と“肌あれケア”の両方を同時にかなえる。

現行品は“唯一無二”の処方で、商品のリニューアルを重ねるのではなく「時代に応じた販売戦略で、多くの社員がバトンを受け継ぎその価値を守ってきた」(塩島瞳ブランドマネージャー)と話す。新“薬用雪肌精”化粧水は、「雪のような透明感」「雪が溶けるような浸透感」「『雪肌精』らしい安心感のあるモダンフローラルの香り」の3つのポイントを継承。商品化までに約16年をかけ、新たに美白有効成分を配合した美白化粧水として生まれ変わる。「美白といえば美容液が多いが、使用率が高く継続性の高い化粧水にこだわった。ようやく初代を越えられる商品ができた」と胸を張る。

デザインは、持ちやすさを意識した丸みのある形状と、発売当時から変わらない“雪肌精ブルー”を踏襲したデザインに刷新した。本体ボトルは、これまで記載していた「薬用雪肌精」の漢字5文字から「薬用」の文字をとり「雪肌精」のみを残した。「若い人の意識調査で、これまでのデザインは『お母さん・おばあさん向け』と年齢層が高いイメージをもたらせていたことが判明した。そこで、若いお客さまにも手にとっていただけるように考慮した」という。

“クリアウェルネス”の
「毛穴タイプ」は
「雪肌精」シリーズに集約

なお、20年のリブランディングで登場した“クリアウェルネス”シリーズの青ボトルを採用した「毛穴タイプ」は、今回のリニューアルを機に時間をかけて「雪肌精」シリーズに集約する。「『雪肌精』シリーズと差別化が難しかった」と反省の弁を述べる。一方の白ボトルを採用した「敏感・低刺激タイプ」は、順調に顧客づくりができており今後も継続する方針だ。

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