大阪で隣り合って営業する大丸心斎橋店と心斎橋パルコが相乗効果を高めている。大丸松坂屋百貨店とパルコは、J.フロント リテイリング(JFR)を親会社とする兄弟会社。百貨店とファッションビルで補完し合うようなMDを組んだり、共同のイベントを実施したりすることで、両店を買い回る客が増えているのだ。その成果は販売実績にもはっきり出ている。両店の好調は、心斎橋エリア全体の活性化にもつながる。(この記事は「WWDJAPAN」2023年12月18日号からの抜粋です)
心斎橋の両店の伸び率は突出している。他の商業施設の伸び率がおよそ10〜20%増であるのに対し、2023年3〜8月期の両店の売上高は大丸心斎橋店が前年同期比34.9%増の434億円、心斎橋パルコが同56.9%増の119億円だった。
最大の押し上げ要因は訪日客の回復である。心斎橋エリアは訪日客の人気観光スポットのため、コロナで大きく落ち込んだ。高い伸び率はその反動である。3〜8月期の免税売上高のシェアは、大丸心斎橋店で28.9%、心斎橋パルコで23.3%を占める。
ただ、それだけではない。エリア特性を踏まえ、コロナ前に策定した両店の戦略が的中しているのだ。
両店はコロナの厳しい環境下で船出した。大丸心斎橋店の本館は、1933年完成の旧本館の建て替えによって2019年9月にオープンした。半年後にはコロナ禍に突入したため、出鼻をくじかれていた。心斎橋パルコは20年11月にオープン。近隣で1991年から2011年まで中規模の心斎橋パルコを営業しており、9年ぶりの復活だったが、コロナ禍で強みである集客イベントを控えざるをえなかった。
定期購読についてはこちらからご確認ください。
購⼊済みの⽅、有料会員(定期購読者)の⽅は、ログインしてください。