今回のファーフェッチ(FARFETCH)の経営危機に機敏に反応した日本の起業家が、ジェイドグループ(旧ロコンド)の田中裕輔社長だ。「実は経営危機が表面化したタイミングで、ファンドなどと連携し、買収提案をしていた」という。最終的にはクーパンによる買収が12月18日に発表され、ジェイドとは合意には至らなかったものの、「公開資料から事業計画を練った。高コスト体質さえ改善できれば、数百億円の営業利益が出せると判断した。ただ、そのためには大幅なリストラや債務削減が必要だった」と振り返る。今回クーパンは債務も引き受けることになるため、買収金額は実質は5億ドルよりはるかに多い金額になる。「ニュースを見てすぐに動いたつもりだが、もう少し早いタイミングでオファーできたらあるいは、と思うと悔しい」という。
ジェイドは23年3月期で商品取扱高(GMV)236億円、営業利益9.9億円だが、2030年にGMV1000億円、営業利益100億円に引き上げる長期ビジョンを掲げている。達成に向けた主要施策の一つに積極的なM&Aを挙げており、今回もその方針に沿ったものだった。