人間が変えてしまった地球の姿は、記憶から消え去った。この世界では、菌類が地球を支配し、人間中心ではない新たな景観や暮らしが生まれているー。一見するとディストピア(反理想郷や暗黒世界のこと)な暮らしとファッションについて、菌類のスペシャリストたちはどう感じるのだろう?「菌類に覆われた世界」について考察するのは、野生の粘菌を採取・培養して研究と制作に用いている現代美術作家の齋藤帆奈と、キノコ類の菌糸体(マイセリウム)を培養して作る“マイロ”(Mylo)の生みの親、ダン・ウィドマイヤー(Dan Widmaier)=ボルトスレッズ(BOLT THREADS)共同創業者兼最高経営責任者(CEO)だ。(この記事は「WWDJAPAN」2024年1月8日号からの抜粋です)
PROFILE: 左から齋藤帆奈/現代美術作家、ダン・ウィドマイヤー/ボルトスレッズ共同創業者兼CEO
菌類の可能性は、人間の理解領域が広がれば無限
WWDJAPAN(以下、WWD):「菌類に覆われた世界」の2人の印象は?
ダン・ウィドマイヤー=ボルトスレッズ共同創業者兼CEO(以下、ダン):私たちは、すでに「菌類に覆われた」ような世界を生きている。大都市でも土を掘れば菌類が存在するし、世界はすでに菌類の多様性に溢れている。
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