2024-25年秋冬コレクション・サーキットがメンズ・コレクションからスタートしました。イタリア・フィレンツェからミラノ、パリへと続く13日間を「WWDJAPAN」が連日ほぼ丸一日をかけて総力リポートします。担当は、「WWDJAPAN」の大塚千践・副編集長と藪野淳・欧州通信員、パリ在住のライター井上エリという大阪人トリオ。ラグジュアリーメゾンから無名の新人まで、全方位をカバーするリポートは「WWDJAPAN」だけ。3人が感じた喜怒哀楽と共に、現地のリアルな空気感をお伝えします。
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10:00 「リック・オウエンス」
芯から冷えるほど寒い本日の朝は、鬼才「リック・オウエンス（RICK OWENS）」からスタートです。会場はいつものパレ・ド・トーキョー（Palais de Tokyo）ではなく、なんとリック・オウエンス様の自宅というから驚きです。路面には、昨夜から明け方にかけて降り積もったのであろう雪が凍り、滑って移動できそうなほどツルツル状態。リック様の自宅前に到着すると、いつもショー会場に集まるファンの姿がほとんどありません。中には、「リック・オウエンス」の超厚底ブーツでツルツル地面をクリアしてきたファンもいたものの、ごくごくわずか。少し寂しい気もするなと思っていたら、さすがコミュニティーを大切にするリック様。そんなファンのこともしっかりと考えていました。ファンへの思いや自宅の様子、コレクションの詳細については、別のリポートをご覧ください。かっこいい。
なお、凍えそうなゲストを気遣い、エントランスで暖かいドリンクを紙コップでサーブしていたのですが、大半のゲストは飲み終わった後も紙コップを放置せず、ちゃんとゴミ袋に捨てて帰っていたのが印象的でした。だって、レジェンドの自宅ですもんね。
11:00 「ウェスト パリ」
朝イチの「ルイ・ヴィトン（LOUIS VUITTON）」展示会でウエスタン気分に浸った後は、今季初めて公式スケジュール入りした若手ブランド「ウェスト パリ（OUEST PARIS）」のプレゼンテーションへ。「アミ パリス（AMI PARIS）」などで経験を積んだフランス人デザイナーのアルチュール・ロベール（Arthur Robert）が、22年に立ち上げたブランドです。
会場に着くと、何やら地下からズンズンと響く低音が聞こえてきます。案内されるまま下に降りると、そこで行われていたのは、照明はバチバチに明るいものの、クラブのようなパーティー。多彩な個性を持ったモデルたちは群をなして、DJブースの前でひたすら踊り続けています。そんな今季の出発点は、「夜遊び、そしてパーティー後の朝帰り」。「ウェスト」は“遊びにも仕事にも使える都会的ユニホーム”を掲げており、エプロンパンツやトラッカージャケット、ジーンズといったシグネチャーとして育てるアイテムに、ワークやウエスタンからスポーツ＆ジムウエア、テーラリング、フェミニンなキャミソールまでをミックス＆マッチして、ほどよくツイストを効かせたリアルなスタイルを打ち出しています。
午前中から聞く爆音のクラブミュージックはなかなかハードで、きっと朝から踊り続けるモデルたちも大変だったはず（笑）。でも、「ウェスト パリ」の世界観や多様性のあるコミュニティー感が伝わるプレゼンでした。
12:30 「オム プリッセ イッセイ ミヤケ」
思い返せば、「オム プリッセ イッセイ ミヤケ（HOMME PLISSE ISSEY MIYAKE）」が初めてパリ・メンズ・ファッション・ウイークに参加したのはちょうど5年前のこと。今シーズンは、過去最高の完成度で驚きを与えてくれました。
同ブランドは、20-21年秋冬シーズンをもって休止した「イッセイ ミヤケ メン（ISSEY MIYAKE MEN）」とは異なり、プリーツという美しい伝統技法を生かしたプロダクトブランドというイメージが強かったんです。ゆえに、シーズンごとに服そのものの構造をがらりと変えるのではなく、多くの人の日常に寄り添いながら、テーマやストーリー性によって付加価値を高めてきました。でも、今シーズンはかなり挑戦的なクリエイションで、プリーツがまるで自由を得たように躍動します。
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