今回お話を伺ったプロジェクトは、1955年に創業した兵庫県加古川市の肌着メーカー、ワシオが手掛けるブランド「もちはだ」の冬のキャンプ用インナーです。同社の主力商品である“もちはだ”シリーズは、「ワシオ式起毛」と呼ばれる独自の製法で作った防寒肌着。「もちはだ」は、一般的な起毛のようにパイル編みのループ部を切るのではなく、上部をこすって起毛します。起毛部分とループ部分に空気がたまって外気を遮断するため圧倒的な保温性能を誇り、世界的な冒険家の植村直己さんも南極大陸の探検時には、「もちはだ」ハイソックスを着用していたといわれています。
そんな「もちはだ」が誕生したのは、1970年ごろのこと。以来50年以上にわたって、保温性能の高い商品として愛されてきましたが、2016年ごろの会社は赤字続き。倒産寸前だった会社を立て直したのは、3代目の後継者となる鷲尾岳さんでした。
16年1月に入社後、岳さんはコストの削減と販路の拡大に着手。そのひとつが、「マクアケ」でのプロジェクトです。「もちはだ」は、圧倒的な保温性能という機能性で高く評価されていた一方、「商品は良いけど、ダサい」というイメージを持たれていました。そのため、これまではパーカやルームウエアなどファッションアイテムを開発してプロジェクトを実施してきました。約6年がたち、「ダサい」というイメージも一定払拭できたことから、今回初めてインナーブランドとして冬のキャンプ用アイテムを開発してプロジェクトに挑戦。初日で、応援購入の金額は270万円を突破。すでに「もちはだ」ブランドが好きだった人、新しくブランドのファンになった人、既存と新規の両方から共感を集めています。今後はアウトドアショップなどの販路を開拓するほか、実際に着用して機能性を体感してもらえるような体験型のコンテンツ企画にもチャレンジしたいとのことです。
実行者の想いとユーザー分析
実行者の想い
3代目の岳さんはワシオに入社後、会社を立て直す一環として「マクアケ」における「もちはだ」の商品開発を手掛けてきました。その過程で「マクアケ」を通じて商品開発をする楽しさを知り、その楽しさを「自分だけではなく、社員にも味わってもらい、新しい挑戦を後押ししたい」という思いから、今回の冬のキャンプ用アイテムのプロジェクトはスタート。「マクアケ」では、「もちはだ」として初のインナーのプロジェクトになっています。
ユーザー分析
今回の商品は、サポーターの声をもとに商品開発を行いました。「マクアケ」が主催するイベント「ミライマルシェ」でサポーターに冬のキャンプ用インナーに求める機能や仕様などを聞き、ニーズを反映させる形で完成させました。ワシオとしては初めて大々的にユーザーにヒアリングを行い、商品を開発したのです。その結果、キャンパーを中心にアウトドアを楽しむ人たちが求めるインナーが出来上がりました。
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