PROFILE: 藪田和也(やぶた・かずや)/「クールヘアー(Coeur Hair)」代表
全国の理美容師、ヘアメイクアップアーティストを対象に、モデルを起用したヘアデザイン作品を募集し、グランプリを決定する「WWDBEAUTY ヘアデザイナーズコンテスト」。7回目の開催となる今回は、“2023~24年のコレクション(NY、パリ、ミラノ、ロンドン)におけるファッションやビューティのトレンドを意識した作品”というテーマで作品を募集中だ(2月13日まで)。
そこでエントリーを考えている方に、作品作りの参考にしてもらいたく、前回のグランプリ受賞者である藪田和也「クールヘアー(Coeur Hair)」代表に“グランプリ受賞作品はどのように生まれたか”を聞いた。
「『コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)』の写真集からインスピレーションを受け、『このインパクトをヘアで表現したい』と思って作った作品。服が持つ強さに負けないヘアにするため、編み込みやワッフルなどで異なる質感を作ってバランスで魅せた。その強さに対する引き算として、メイクアップは盛り過ぎないでミニマムに。モデルは『サカイ(SACAI)』や『アンダーカバー(UNDERCOVER)』のランウェイに出た経験があると聞いて興味を持ち、その強い表情とノージェンダーな雰囲気に惹かれてお願いした」と藪田代表。
服は「コム デ ギャルソン」の、オーガンジー素材のトラックジャケットをチョイス。撮影の際、はじめは服を見せるため引きで撮影していたが、「ヘアにインパクトがあるので、寄りで撮ったほうがいい」というフォトグラファーのアドバイスに従い、後半は寄りで撮影。結局、後半で撮ったカットを採用したという。作品に込める思いが強ければ強いほど、自分の思いが先行しがち。だが、撮影クルーの意見をよく聞くことも、作品のクオリティーを高めるコツのようだ。
最後には80 年代の風合いを出すため、デジタル処理で画像をあえて荒くしてもらったという。「よく『コンテストに出す作品をわざと荒くすることに抵抗はなかったか?』と聞かれるけれど、正直に言って全く抵抗はなかった。そもそも『コンテストで賞をとりたい』ではなく、『自分のサロンに飾りたくなる作品にしたい』という気持ちで作ったもの。そうした感覚のほうがこのコンテストに合っているし、自分の“好き”が伝わると思う」。