外商ビジネスを強化している百貨店が今、こぞって注力しているのがアートだ。多くの百貨店にはアートを販売してきた歴史があるが、ダウントレンドだった時期もあった。ところが、コロナ禍で家の中の豊かさを求めるようになり、アートへの関心が高まった。現代アートブームの影響もあり、特に若年富裕層の間では、現代アートを所有することがステータスになりつつある。宝飾、時計など関心のあるものは所有済み、物質的充足感以上の何かを探している富裕層に刺さるのがアートなのだ。百貨店3社および、大丸松坂屋と同じくJ.フロントリテイリングの傘下であるパルコの動向についてリポートする。(この記事は「WWDJAPAN」2024年1月22日号からの抜粋です)
三越日本橋本店
ギャラリーは人と情報を
つなぐコミュニティー
三越日本橋本店(以下、三越)本館の6階には、オールドマスターから若手作家、茶道具、工芸品まで幅広くそろえるアートギャラリーがある。美術品を取り扱って110年以上の歴史がある三越ならではの規模感で、あらゆるジャンルを網羅している。長年にわたり美術に触れる機会を創出し、作家の支援に力を注いできた三越。その流れをくむ「三越コンテンポラリーギャラリー」は2020年にオープンした。年間約30人の日本人中心の現代作家の作品を展示販売している。三越伊勢丹第1MDグループ 美術営業部 三越日本橋本店の高木啓伍=洋画・コンテンポラリーバイヤーは、「21年ごろから現代アートの人気が高まり、ステータスになり始めた。知識や新しい価値観を喚起するのがアート。アートは新客に来店してもらうきっかけになる」と話す。メディアやSNSの影響もあり、現代アートはブームになっているという。
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