尋問では、WGACAが商品の真贋をどのように定義し、どのように販売しているかが一つの争点になっている。「シャネル」の代理人によると、WGACAは「シャネル」が使用していないシリアルナンバーが付されたバッグを販売したため、2015年に停止命令書を送付した。その中で「シャネル」は、商品を追跡するために使用している認証シールがイタリアの工場から盗まれた旨を記載したにもかかわらず、問題のバッグは「誤表記」だったとされ、販売されたという。さらにWGACAは、自社のECサイト上でシリアルナンバーの掲載を中止したという。
「シャネル」は、WGACAは「シャネル」の商標を侵害した51以上のハンドバッグと、「シャネル」のビューティカウンターの備品として制作されたロゴ入りのティッシュボックスカバーを含む779の製品を販売したと主張する。「シャネル」の弁護士によると、WGACAは16~22年の間に9000万ドル(約130億円)相当の「シャネル」の中古品を販売したという。また、反対尋問を受けたジョイス・グリーン(Joyce Green)=シャネル フランス マネージング・ディレクターは、両者の間に提携関係があると誤解したという話は聞いたことがないと述べつつ、「シャネル」の格が下がることを望んでいない熱心な顧客から、WGACAについて「なぜこのようなことが起きるのか」と疑問を呈されたと述べた。
WGACAの代理人は、この裁判は「シャネル」というブランドやその商標の問題ではなく、責任をもって中古品を販売する会社から商品を購入するという選択肢を消費者に与えることの方が重要だと問題提起した。また、消費者が両者の間に提携関係があると誤解するという論点については、90年代から2000年代にかけての「シャネル」のスタイルの一部は今でも高い需要があるものの、「シャネル」では販売していないため、WGACAが取り扱うことでブランド力の強化に貢献していると主張した。