外商ビジネスを強化している百貨店が今、こぞって注力しているのがアートだ。多くの百貨店にはアートを販売してきた歴史があるが、ダウントレンドだった時期もあった。ところが、コロナ禍で家の中の豊かさを求めるようになり、アートへの関心が高まった。現代アートブームの影響もあり、特に若年富裕層の間では、現代アートを所有することがステータスになりつつある。宝飾、時計など関心のあるものは所有済み、物質的充足感以上の何かを探している富裕層に刺さるのがアートなのだ。百貨店3社および、大丸松坂屋と同じくJ.フロントリテイリングの傘下であるパルコの動向についてリポートする。(この記事は「WWDJAPAN」2024年1月22日号からの抜粋です)
大丸松坂屋百貨店
ビジネスと文化の
両輪で市場を活性化
大丸松坂屋百貨店(以下、大丸松坂屋)の美術部は約100年の歴史がある。“生活と文化を結ぶ”をコーポレートアイデンティティーに掲げ、各館でアートを盛り上げる試みを行っている。年間、外商を含め50程度催事を行う。同社のアート関連の2023年度の売上高はコロナ前の19年度と比較すると約30%増。昨年5月に松坂屋名古屋店で開催した「現代美術展の過去・現在・未来展」は、予算1億円に対し売上高は2億円、同年1月大丸心斎橋店で開催した「ART SHINSAIBASHI」では予算2億3000万円に対し、2億6000万円売り上げた。同社が目指すのは、2〜3年をめどにアートの年商100億円を200億円にすることだ。
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